生産性向上を実現する設備用BIMソフト
Rebro2013の秘密を女性技術者が徹底解説(NYKシステムズ)
2013年8月8日

NYKシステムズが2013年6月に発売した建築設備専用BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトの最新版「Rebro2013」は、並列処理の導入やCG機能や技術計算機能の強化などで、設備設計の生産性をさらに高めました。その進化の秘密を同社営業部の設備技術者、小林美樹さんが徹底解説してくれました。

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NYKシステムズ
営業部
小林 美樹 さん

   64ビットの並列処理で描画時間を最大70%短縮

建築設備用BIMソフト「Rebro」は、その心臓部となる3DモデリングエンジンからNYKシステムズが独自に開発した純国産のBIMソフトだ。同社ではユーザーの声に耳を傾け、機能の追加や改良などの要望にスピーディーにこたえてきた。

「2011年に発売したRebro2011では大規模な設備モデルに対応するため、大容量メモリーをフル活用できる64ビットOSにネイティブ対応しました。さらに今回発売したRebro2013では、マルチコアCPUを活用して複数の計算処理を並列処理するマルチスレッド化を進めたことにより、図面やCGの描画のスピードが従来の約3倍になりました」と、NYKシステムズ営業部の小林美樹さんは説明する。

64ビット化と並列処理により、大容量のBIMモデルや図面データの取り扱いがいっそうスムーズになり、設計業務の生産性アップを実現したのだ。

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8つのスレッドによる並列処理。右側の画面に各スレッドや合計のCPU稼働率が表示されている
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マルチスレッドによる並列処理の効果で図面描画とCG描画の速度は約3倍になった

  ハイスペックのパソコン、グラフィックボードは不要

設備設計用のBIMソフトは、施工現場で施工管理技術者のツールとして使われることが多い。多くの技術者が使うため、ソフトに加えて高価なパソコンやグラフィックボードを人数分そろえると、BIM導入のコストもふくれあがってしまう。

その点、Rebro2013は、そこそこのスペックのマシンでもBIMが使えるように工夫を凝らしている。

「図面描画処理のプログラムを見直し、CG処理速度を改善しました。さらにメモリーの一部を描画に使う『高速クオリティモード』を追加しました。あまりハイスペックなパソコンでなくても、スムーズなCG操作ができるのでストレスを感じません。ユーザーの懐にもやさしいソフトになりました」と小林さんは言う。

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新たに追加された「高速クオリティモード」
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あまりハイスペックでないパソコンでも図面やCGの描画がスムーズ。Rebro2013はユーザーの懐にもやさしい

例えば、BIMモデル内をウォークスルーしたり、BIMモデルを回転させて見たりするとき、Rebro2011では画面のちらつきがあったが、Rebro2013はきれいな画面のままスムーズに移動できる。

  圧損、流量などの技術計算機能を追加

Rebro2013では技術計算機能も追加された。Rebro2013で設計中の設備モデル上で、ダクトや配管の圧力損失や流量計算などを行えるのだ。

「ダクトや配管の分岐を増やしたり、サイズを変えたりするなど、ルートを編集すると計算結果も自動的に連動します。その結果は国土交通省の建築設備設計基準に基づいてExcelファイルで帳票出力できるので、計算書の作成業務も効率化できます」(小林さん)。

これまでは図面からダクトや配管のサイズや長さを拾い、計算用ソフトで圧損や流量を計算し、その結果からまた設計を修正する、という手作業を繰り返す必要があったが、Rebro2013は瞬時に行われる計算結果を見ながら設計作業を進めていけるのだ。

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ダクトの圧損や配管の抵抗を自動計算する機能

例えば、ダクト末端の吹き出し口に風量を設定すると、その上流にあるダクト分岐部の流量は自動的に合算され、流量に応じてアルファベットの記号で表される。機器やダクト局部の抵抗係数を変更すると計算結果に自動反映される、といった具合だ。

「ユーザーからの要望にこたえて、技術計算機能には細かい改良が加えました。例えば、フレキシブルダクトの単位抵抗値は自動計算のほか、メーカーのカタログ値も任意に入力できるようにしました。ユーザーは自社の計算方法に基づいた計算をRebro2013上で行えます」と小林さんは言う。

計算した流量や風量をもとに、配管やダクトの最適なサイズを自動計算することもできる。ダクトは縦横のアスペクト比や幅一定、厚み一定などきめ細かな制約条件を設定でき、図面上でも風速や流速を表示できる。

また、屋上の冷却塔や地下の蓄熱槽につながる「開放式回路」に対応した揚程計算や、配管抵抗計算で国土交通省の設計基準に記載されていないバタフライ弁やボール弁、フレキシブルジョイントなども扱えるようにした。

  「I」のあるBIM活用を実現

最近、BIMの活用でよく指摘されるのは、意匠や構造、設備を3Dモデルで設計しても、「IのないBIM」、つまり属性情報(プロパティ)の活用が十分行われていないことだ。

設備設計の場合、プロパティとは機器やダクトなどBIMモデルを構成する各部分に埋め込まれた形式名や仕様、メーカー名などの情報を意味する。小林さんは「Rebro2013の開発でこだわったのは、一度、入力したプロパティを有効に活用することです」と説明する。

その一例が機器の検索機能だ。ウェブサイトの検索エンジンのようにメーカー名や型番などのフリーキーワードをRebro2013の検索画面に入力すると、その文字列を含んだ機器などをBIMモデルの中から探し出し、丸印と矢印で分かりやすく表示できるのだ。

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無数の設備からなるBIMモデルから、プロパティにインプットされた文字列から目的の機器などを探し出すフリーワード検索機能
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画面の右側に該当する機器のリストが表示されるとともに、リスト上のチェックボックスをクリックするとBIMモデル上の位置がクローズアップされる

プロパティはユーザーが自由に情報を入れられる。例えば、機器の型番や電源の電圧、サイズ、材質、メーカー名などだ。また、ウェブサイトやパソコン内にある機器の能力線図や点検記録データシートへのハイパーリンクも入力できる。

台数や位置、プロパティなどの機器情報を一元的に管理するのがRebro2013の「機器管理パネル」だ。

「建物の階ごとに機器の台数を集計して一覧表にできます。プロパティ情報だけをCSV形式で入出力することができます。設計が具体化して機器の機種名が決まったときなどには、属性情報だけをExcelで入力し、Rebro2013のモデルに戻すことができるので効率的です。また、BIMソフトが使えない人も、BIMのワークフローに参加できるというメリットもあります」(小林さん)

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Rebro2013のカタログを見せながら様々な新機能を説明してくれた小林さん

  国産BIMソフトならではのきめ細かい対応

Rebro2013で角ダクトのフランジ割付を自由に行ったり、スパイラルダクトの差し込み代を自由に設定したりできる機能も追加された。細かくフランジ位置を調整することで、ダクトの役物の種類やフランジの数を減らすことができ、施工時のコストダウンに役立つ。

また、二方分岐やT字分岐、円形フランジダクトなどのダクト役物のパーツも追加されたほか、吊りバンドの長さ変更機能、建築図面の柱と壁の包絡処理や建具、壁の仕上げなどを作図する機能など、細部の改良も加えられた。

これらの機能はNYKシステムズが、ユーザーからの要望に耳を傾けて、一つ一つ、実現していったものだ。開発者とユーザーがダイレクトに対話できる国産ソフトならではの良さが発揮され、使い勝手が向上したものと言えるだろう。

NYKシステムズでは毎週のようにRebro2013の体験セミナーを本社で開催しているが、毎回、5人の定員は満員になっていまい、開催が追いつかない状況だ。こうしたことからも、Rebro2013の人気とユーザーからの支持がうかがわれる。

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Rebro2013を販売・サポートするNYKシステムズの社員

【問い合わせ】
株式会社NYKシステムズ
本社      〒104-0028 東京都中央区八重洲2-6-16 北村ビル
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