鉄筋の可視化から干渉チェック、設計変更までをカバー
CIM/BIMの生産性を高める3D配筋CAD(フォーラムエイト)
2014年2月8日

土木構造物や建物を3Dで設計・施工するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の対象は、構造物内部の鉄筋配筋まで進んできた。フォーラムエイトは他のソフトと連携して鉄筋を3Dでモデル化し、配筋状態の可視化から干渉チェック、設計変更までを行える「3D配筋CAD」を2013年11月にリリースした。その実力を探ってみた。

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CIMやBIMの普及で配筋も3Dで設計したいというニーズが増えている。フォーラムエイト主催の「3D配筋CAD体験セミナー」で

   CIMやBIMの普及が3Dによる配筋設計を後押し

CIMやBIMの活用業務も設計段階での基本設計から詳細設計、さらには施工段階での施工図作成へと広がりつつある。その流れは、鉄筋コンクリート構造物などの配筋設計を3Dで行うまでになってきた。そこでフォーラムエイトは2013年11月、「3D配筋CAD」をリリースした。

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3D配筋CADによる鉄筋同士の干渉チェック

3Dモデルで設計・施工・維持管理を行う土木分野のCIMや、建築分野のBIMが建設業界で普及しつつある。その最大の特徴は、土木構造物や建物の設計内容を誰にでも分かりやすく「見える化」することだ。

また、2Dの平面図や断面図では見落としがちだった部材同士の干渉を着工前に発見して解決する「干渉チェック」や、3Dモデルから様々な図面や数量計算書間で整合性を保ちながら作成できるという「設計図書の自動作成」といった特徴もある。

3D配筋CADは、CIMやBIMのメリットを配筋設計の分野でも生かすことで、設計や施工管理の生産性向上を実現するものだ。

  UC-1設計シリーズとの連携で設計を効率化

3D配筋CADは、コンクリート打設後は隠れてしまう鉄筋の配筋を効率的に設計するための様々な機能を持っている。まずは橋梁の上・下部工や基礎工、道路土工、水工、仮設工など様々な構造物の設計に対応したフォーラムエイトのUC-1設計シリーズのソフトとの連携機能を備えていることだ。

UC-1シリーズには、構造物の形状や配筋を3Dで設計する機能を持つソフトがあり、これらには配筋状態を見られる「3D配筋ビューワー」が搭載されていた。3D配筋CADはこのビューワーの機能を拡張し、躯体や鉄筋の生成・編集機能や干渉チェックなどを追加したものだ。

鉄筋の配筋を1から3Dで行うことは大変面倒で効率的ではない。そこでUC-1設計シリーズの各ソフトで、構造物の設計を行うとともに3D配筋の元となるモデルを作成し、3D配筋CADに読み込んで仕上げるというワークフローが可能になるのだ。

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UC-1設計シリーズには、橋梁下部工(左)やL型擁壁(右)を3Dで設計する様々なソフトがそろっている
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UC-1設計シリーズで作成した配筋データを3D配筋CADに読み込んだ例

3D配筋CADはオリジナルのファイル形式である「RFC形式」の読み込みと保存のほか、UC-1設計シリーズで出力した「RFV形式」の読み込みができる。そして保存できるファイル形式は「3DS形式」、BIM/CIMソフト「Allplan」に対応した「Allplan形式」、そしてBIMの国際的なデータ交換標準である「IFC形式」に対応している。

こうしたファイル互換機能により、UC-1設計シリーズのデータを様々なCIMやBIMのソフトに連携させたワークフローにつなぐ役割も果たすのだ。

  鉄筋の干渉を発見し、回避する機能

3D配筋CADには鉄筋の設計に特化した様々な機能が搭載されている。まずは鉄筋の干渉チェック機能だ。干渉チェック機能は鉄筋同士の干渉のほか、鉄筋とコンクリート躯体面までのかぶりチェックにも対応し、干渉個所やかぶり不足の部分を自動的に発見し、分かりやすく表示する。

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鉄筋同士の干渉部分(左)や鉄筋のかぶり不足のある部分(右)を自動的に発見し、分かりやすく表示する干渉チェック機能

一般的なCIMやBIMのソフトは、3D空間上で視点の位置や方向を自由に移動させることができるが、3D配筋CADの特徴はある1本の鉄筋に沿って視点を移動できるところにある。問題のある鉄筋を見失うことなく、端から端までを視覚的にチェックできるので、干渉状況が確認しやすい。

そして鉄筋の移動距離を入力したり、マウスで鉄筋を移動させたりして鉄筋の干渉を回避する方法のシミュレーションが行える。

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鉄筋に沿った視点移動の機能(左)は問題のある鉄筋を見失うことなくチェックできる。干渉回避シミュレーションの画面(右)

UC-1設計シリーズではまず、構造物の応力的な問題をクリアした設計を行い、続いて3D配筋CADで鉄筋の施工性を考慮した設計のチェックや微修正を行う、と手順で施工時に手戻りなどが生じない高精度の設計が可能になる。

  躯体も考慮した設計変更機能

鉄筋の干渉チェックや干渉回避シミュレーションによる調整を行う間には、鉄筋だけでなく躯体コンクリートとの位置関係を確認したり、現場の条件によっては躯体自体の形状を変更したりする必要も出て来るだろう。

3D配筋CADでは、コンクリート躯体をワイヤーフレームや透過によって簡単に表示を切り替える機能を備えている。

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コンクリート躯体をワイヤーフレーム表示(左)や透過表示(右)にすることにより、配筋との位置関係を確認できる

また、躯体断面図を作成して押し出すことにより、躯体自体をモデル化する機能もある。こうして作成した躯体には、基準ピッチで自動配筋を行ったり、配筋ピッチとピッチ数を指定して詳細に配筋を行ったりすることができる。

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コンクリート躯体を一筆書きのように設計し(上段)、押し出すことで3Dモデル化(下段)することも可能だ
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作成した躯体に自動配筋した例。3D配筋CADだけで鉄筋コンクリート構造物を設計できる

このように、UC-1設計シリーズによる設計の修正や、簡単な構造物は1から躯体と配筋を3Dで設計することも可能なのだ。

  3Dモデルから2D図面作成や鉄筋情報の編集

鉄筋の干渉やかぶりの問題を3Dで解決した後は、施工に使う2D図面の作成が行える。図面の種類は一般構造図、配筋図(平面図・正面図)、配筋図(縦断面・平断面)、加工図(鉄筋表付)から選択可能だ。

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3D配筋CADで作成した2D図面(上段)と鉄筋情報の編集画面(下段)

さらに3D配筋CADで作成した配筋モデルは、クラウド版の「3D配筋CAD for SaaS」と連携させてAndroid端末でオフィス、現場を問わずに利用できる。クラウド上のファイル共有サーバーからAndroid端末にモデルや図面を読み込んで閲覧したり、現場から配筋モデルとひも付けて写真やコメントを保存し、プロジェクト関係者間で共有したりすることもできるのだ。

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「3D配筋CAD for SaaS」の画面例。クラウド上で配筋の3Dモデルや図面のほか写真やコメントを共有し、オフィスや現場で活用できる
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Android端末での操作例

フォーラムエイトは今後、関西大学が中心となったカイザープロジェクトで開発した国産3DCADエンジンを採用した3次元CAD「3DCAD Studio®」と3D配筋CADを同社の様々な設計ソフトのハブと位置付けて、設計情報を統合したり、他社のCIM/BIMソフトとの連携を行ったりできるように開発を進めていく方針だ。

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3DCAD Studio®と3D配筋CADを中心としたデータ連携の将来展望
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