建築部門と土木部門が連携、
東急建設のBIM/CIM展開を支えるワークステーション(日本HP)
2014年2月16日

東急建設では昨年から建築部門にBIM推進グループ、土木部門にCIM担当を置き、建築と土木が連携しながら「UIM(アーバン・インフォメーション・モデリング)」という独自の概念で、東京・渋谷の街づくりなどを手がけている。多数の建物や地下街を一体化した大きな3Dモデルを扱うための主力マシンとして、日本ヒューレット・パッカードのワークステーションが活躍している。その製作現場を直撃取材した。

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(右)建築本部建築部BIM推進グループ チームリーダー 吉村知郎氏、(中央)同・グループリーダー 越前昌和氏、(左)土木本部土木技術設計部 設計グループCIM担当課長代理 小島文寛氏

   「BIM×CIM=UIM」を実践

東急建設本社の一角に置かれた大型モニターには、東京・渋谷の街並みの3Dモデルが映し出された。その断面には地上のビルや道路のほか、昨年3月に地下化された東急東横線の駅や地上に向かうエスカレーターやエレベーターなど、地下道までが再現されていた。

モニターを囲んで意見交換しているのは同社の建築部と土木技術設計部の技術者だ。東急建設は、渋谷の街並みを建築のBIMと土木のCIMを融合させたUIM(アーバン・インフォメーション・モデリング)によって3D化。建築と土木の連携を図りながら渋谷の街づくりに取り組んでいる。

この検討に使われているのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)のデスクトップワークステーション「HP Z 220 Workstation」だ。

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渋谷の街のUIMモデルを大型モニターに映しながら意見交換する東急建設の技術者たち
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大型モニターにつながれた日本ヒューレット・パッカードのデスクトップワークステーション「Z220」

「渋谷のような複雑な街の地上と地下を一つにまとめて3Dで検討するためには、BIMとCIMでそれぞれ単独では行えません。そこで東急建設ではBIM×CIM=UIMという概念を提唱しています」と同社建築本部建築部BIM推進グループチームリーダーの吉村知郎氏は説明する。

建物と土木構造物の3Dモデルを一つにまとめて見るのはかなりのコンピューターパワーを必要とする。そこで同社ではBIMやCIMの導入部署には、日本HPのデスクトップ型ワークステーション「Z
220」「Z 420」「Z620」を導入し、業務の種類によってメモリー容量を変えるなどして活用している。

  建築と土木が連携してBIM/CIMを推進

同社の建築部門がBIMを導入したのは2011年だ。そして昨年7月にスタッフ4人のBIM推進グループが発足し、社内の各部門へのBIM導入を支援している。使用しているBIMソフトは、オートデスクのRevitやNavisworks 及びグラフィソフトのArchiCADが中心だ。

また同社建築本部建築部BIM推進グループグループリーダー 越前昌和は設計部門の出身、チームリーダーの吉村氏は施工部門の出身だ。そのため、施工時の問題を設計時に考慮し、解決するフロントローディングの社内浸透にも取り組みやすい。

一方、土木部門も2012年の夏から土木技術設計部にCIM担当のスタッフ6人を置き、CIMの導入を進めている。CIMソフトに、建築部門とのデータ交換を考慮してオートデスクのCIMソフトパッケージ「Infrastructure Design Suite」を使っている。また、プロジェクトの段階によっては3Dモデリングソフト「SketchUp」を使うこともある。

「渋谷の地下歩道には階段のほかエレベーターやエスカレーターがあり、3次元的に複雑な形をしているので、BIMやCIMでモデリングすることで非常にわかりやすくなります」と、同社土木本部土木技術設計部設計グループCIM担当 課長代理の小島文寛氏は説明する。

  3Dへの取り組みは20年前から

東急建設の建築・土木両部門が連携しながらBIM/CIMの導入を図っているのは、同社のブランドメッセージ「Town Value-up Management」を体現するためでもある。〜建物ひとつひとつではなくお客様・生活者の視点で“まち”全体を考える〜というスタンスを実現するために、建築・土木の連携は効果的だ。それともう一つ、同社では1990年代に既に両部門で同じ3D-CAD/CGを導入し、活用していた実績がある。「BIMやCIMを当社で導入するときも、当時の経験があったので、建築と土木が自然に連携することができたのかもしれません」(越前氏)。

「当時から、ごく稀に発生する不具合を連絡すると3時間後には代替品を持って技術者が駆けつけてくれたり、故障個所を突き止めたりしてくれました。こうした信頼感もあり、現在も日本HPのマシンがメインになっています」(越前氏)。

越前氏はBIM/CIMに日本HPのワークステーションが適している点として「HP Performance Advisor」というソフトを内蔵していることを挙げる。このソフトはワークステーションを構成する部品のシステムブロック図を表示したり、各ソフトでシステムのリソースをどの程度使っているのかを「見える化」したりするソフトだ。

「BIMやCIMのソフトを使っていると、どこかの部品がボトルネックとなって動作が遅くなることがあります。その原因を突き止めて、CPUやメモリー、グラフィックボードなどを交換し、最適なパフォーマンスを得られるようにチューニングするのに便利ですね」と越前氏は語る。

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1990年代に東急建設が作ったパンフレット。20年前とは思えないほどの建築、土木のCGが並び、BIM/CIMやUIMを先取りしているかのようだ

越前氏はBIM/CIMに日本HPのワークステーションが適している点として「HP Performance Advisor」というソフトを内蔵していることを挙げる。このソフトはワークステーションを構成する部品のシステムブロック図を表示したり、各ソフトでシステムのリソースをどの程度使っているのかを「見える化」したりするソフトだ。

「BIMやCIMのソフトを使っていると、どこかの部品がボトルネックとなって動作が遅くなることがあります。その原因を突き止めて、CPUやメモリー、グラフィックボードなどを交換し、最適なパフォーマンスを得られるようにチューニングするのに便利ですね」と越前氏は語る。

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BIM/CIMソフトを効率的に動かせるようにする「HP Performance Advisor」。ソフトごとのリソース使用率をわかりやすく見える化する

  RGSでワークステーションを遠隔操作

土木技術設計部の小島氏は、日本HPのワークステーションに無料で付属しているRGS(リモート・グラフィックス・ソフトウェア)を愛用している。職場のワークステーションを工事現場や出張先で、タブレットやノートパソコンから遠隔操作できるものだ。

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RGSを使い、HP ElitePad900で自席のワークステーション「Z220」を遠隔操作する小島氏

「CIMのように大きなデータを扱うときは、やはりハイスペックな職場のワークステーションが使いたくなります。そんなときにRGSは重宝しています。通信速度が10Mbpsもあれば、画面の応答性もよく、ストレスなく使えます」と小島氏は語る。今後はBIM/CIMソフトの教育や災害時などのBCP(事業継続計画)などにも使えそうだという。

東急建設のBIM/CIM、UIMは日本HPのワークステーションとともに、今後、ますます進化していきそうだ。

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日本HPのワークステーションやノートパソコンが主力のBIM推進グループ

 

【企業紹介】東急建設株式会社

本社所在地: 東京都渋谷区

創業: 1946年3月

資本金: 163億5,444万円(2013年8月31日現在)

従業員数: 2342人(同)

完成工事高: 2210億円(同)

事業内容: 総合建設業http://const.tokyu.com/

 

【問い合わせ】
日本ヒューレット・パッカード株式会社
東京都江東区大島2-2-1
オンラインストア HP DirectplusTEL : 03-6416-6161

ホームページ : http://www.hp.com/jp/directplus/

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