三井住友建設が「JDraf」を全社で導入
2次元CADのコストを約10分の1に(ジェイドラフ)
2014年3月11日

三井住友建設は2013年にジェイドラフが発売した2次元CADソフト「JDraf」を、昨年10月以降、新規導入する同社の標準パソコンすべてにインストールしている。低価格にもかかわらず建設業界のデファクトスタンダードとなっているファイル形式「DWG」との互換性があり、既存CADソフトと同様に使えるのが特徴だ。三井住友建設のシステム運用担当者にJDraf導入の理由を直撃取材した。

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ジェイドラフの2次元CADソフト「JDraf」を全社導入した三井住友建設企画部ITグループ課長の吉井健氏(左)と情報システム業務を担当するコスモプラニングの代表取締役社長を務める長谷芳春氏(右)

   2次元CADの運用コストを約10分の1に

「2次元CADソフト『JDraf(ジェイドラフ)』を社内の標準ソフトのひとつとして位置付けることにより、将来的には2次元CADソフトの年間運用コストを約10分の1に抑えることができるのではないかと期待しています。」と言うのは、三井住友建設でCADソフトの購入や管理を担当する企画部ITグループの吉井健氏だ。

JDrafとは、ジェイドラフが2013年4月に発売した2次元CADソフトだ。「スタンドアロン永久ライセンス版」は4万6000円(税別)と低価格でありながら、建設業界でデファクトスタンダードになっているCADファイル形式「DWG」をネーティブファイルに採用し、フルカスタマイズに対応するなど、建設業界のニーズに合った特徴を持っている。そのため、同年5月29日に東京で開催された発表会には100人以上が詰めかけるほど、建設業界の注目を集めた。

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2013年5月29日に東京で開催されたJDrafの発表会には、建設業界の関係者が100人以上詰めかけた

「JDrafは一般的に使われている2次元CADソフトに比べて価格が約3分の1と安く、しかもインターネットを通じたネットワークライセンスが使えるので、購入するライセンス数も3分の1程度に抑えられると考えています。また別途手配していたCADデータのViewerの必要がなくなり、それらの相乗効果で、最終的に2次元CADの運用コストが激減することになると想定しています。」(吉井氏)。

三井住友建設は、同年10月から、社内の標準パソコンとして新規導入する台数の10%分に相当するJDrafのネットワークライセンスを購入し、そのすべてにJDrafをインストールしている。「CADを使う設計者や技術者には、CADの購入を検討する前に、一度JDrafを使ってみるようにと薦めています」と吉井氏は言う。

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業界標準の「AutoCAD」の画面(左)と「JDraf」の画面(右)。DWG形式の図面が同じように表示されるのはもちろん、メニューやショートカットキーの操作感も似ている

   業界標準CADに近い操作性

建設業界の実務で使われるCADソフトに求められるのは、何といっても業界標準のフォーマットであるDWG形式との高い互換性だ。JDrafはドイツ・Graebert社のエンジンを採用している。そして世界各国のソフトベンダーがメンバーとなってDWG形式の入出力機能を開発・メンテナンスし続けている「Open Design Alliance」(旧OpenDWG)のサポートを受けているので、常にDWG形式との互換性は保たれる。

また、業界標準CADとして普及している「AutoCAD」をカスタマイズするために開発されたLISPやC#、C、C++などのコードを再利用できるような互換性を備えている。さらにメニューやショートカットなどの操作も似ているという特徴がある。

例えば、AutoCADには寸法線をはさんで上下に文字を記入する機能がある。JDrafもAutoCADと同じような方法でこのような細かい表現ができる。

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寸法線をはさんで「うえ」「した」の文字列を記入した例。改行する部分に「\X」と記入する方法もAutoCADに似ている

「DWG互換のCADソフトは様々なものが市販されていますが、当社で試したところ操作性はJDrafが最もAutoCADに近く、スムーズに使えるのでAutoCADとの併用もしやすいことが分かりました。DWGとの互換性も高く、JDrafを使った社員からは戸惑うことなく利用できたとの意見を頂いた。」と吉井氏は語る。

JDrafにこれだけの機能が搭載されているのは、発売元のジェイドラフに、AutoCADや互換CAD、DWGファイルの利用技術を熟知したスタッフがいるからだ。「何か問題があったときにも、ジェイドラフのスタッフがすぐに対応してくれる安心感も導入の決め手でした」(吉井氏)。

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印刷された「AutoCAD」の図面(左)と「JDraf」の図面(右)。図面化けのトラブルもない

オートデスクのAutoCADとの互換性が高いことはユーザーにとって大きなメリットだが、同社が保有する特許や著作権を侵害しているのではないかと思う人がいるかもしれない。しかし、その心配はいらない。その理由は、Graebert社のエンジンは法的な妥当性やリスクについて厳しいリーガルチェックを受けているからだ。

そのため、「Draftsight」を開発するダッソー・システムズ社や「CorelCAD」を開発するCorel社などの大手もこのエンジンを採用している。つまりJDrafはこれらのDWG互換CADソフトと兄弟関係にあるのだ。

三井住友建設がJDrafの導入を決めた背景には、こうした安心感や実績も大きな要因となった。

   ネットワークライセンスで管理を省力化

三井住友建設のCAD運用実務を担当するコスモプラニング代表取締役社長の長谷芳春氏はこれまでのライセンス管理についてこう語る。

「建設会社では工事が始まると現場単位でCADソフトを購入することがよくあり、その数は年間数百本にも上ります。しかし、設計部門と違い、工事が終わった後はCADソフトのライセンス管理が行いにくいという問題もあり、非効率でした。その点、JDrafはネットワークでライセンス管理ができるので無駄な支出もありません」。

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JDrafはインターネット経由でいつでもライセンスが使えるため、工事現場でもCADソフトを新たに購入する必要がない

ソフトベンダーとの契約上、これまで海外工事では日本からCADソフトを持ち出せないこともあった。JDrafは海外からもインターネットでライセンス認証して使うことが許されている。ネット事情が悪い国や地域では、1本だけネットライセンスから切り離して、スタンドアロン版として使える柔軟性も備えている。

さらにJDrafは「期間契約ライセンス版」もあり、1年で2万8000円(税別)とさらに低価格だ。「建設業は景気によってプロジェクトが増減するので、常に一定の本数をサブスクリプション契約で保守するのは無駄が多い。期間契約ライセンスによって必要な本数を自由自在に調整できるのも、JDrafを選んだ理由だ」と長谷氏は言う。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)が普及しつつある建設業界だが、依然として図面は設計や施工の基本だ。2次元CADも最先端の機能までは使わなくても、図面を開いてチェックや修正をしたり、印刷したりというニーズはますます高まっている。

低価格で高い機能を持った「JDraf」は、医薬品業界のジェネリック薬品のように、建設業界の“ジェネリックCAD”としての機能が今、実務で生かされつつあるようだ。

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【問い合わせ】

ジェイドラフ株式会社

〒160-0008 東京都新宿区三栄町9番地18号

TEL:03-5363-5020, FAX:03-5363-5021

ホームページ http://www.jdraf.com/

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