ベステラ 3D事業部は、日本で初めてFARO Freestyle3D Xを導入した。小さいながらも精度1.0mm以下という高精度の3Dレーザースキャナーだ。本体は軽量カーボンファイバー製で、重量は1kg未満。そして、IP52の防塵、防水性能を持つので、ほこりっぽい現場や湿度の高い現場でも安心して使うことができる。
構造物の裏側まで手軽にスキャン
「構造物の裏側やピット内部などは、固定式の3Dレーザースキャナーだと計測が不可能な場合があります。その点、手持ち式のFAROのハンディスキャナー、FARO Scanner Freestyle3D Xは、狭い場所でも手軽に計測ができるので、構造物を隅々まで点群データ化するのに役立っています」と語るのは、ベステラ 3D事業部の事業部長を務める多田まこと氏だ。
「例えば、ここにある3Dプリンターを点群データにしたいとき、通常の3Dレーザースキャナーだと死角となる裏側や側面の計測は困難です。ところが、Freestyle3D Xならば、機器の周辺をぐるりとなぞるように動かすだけで、リアルタイムに点群データが取得できるのです。点群合成のための面倒なターゲットもいりません」(同)。
そう言うと、多田氏はFreestyle3D Xを持って3Dスキャナーを計測し始めた。すると片手に持ったタブレットパソコンには、点群を計測した部分に緑色のドットが付いていき、その隣には計測された点群データが表示されていった。
「計測中の点群をその場で確認できるので、測定漏れがあった場合もその場ですぐにわかり、計測し直せます。そのため、事務所に帰ってから再度、現場に出掛けて測り直すという手戻りがないのがいいですね」と多田氏は言う。
マーカーを使わずに計測したにもかかわらず、計測された点群は3Dプリンターの滑らかで光沢のある曲面の形や色を忠実に再現していた。そして3Dプリンターの裏側面や下の脚までも点群化されていた。
軽量で高精度のFARO Freestyle
ベステラ 3D事業部が日本で初めて導入したFAROスキャナー Freestyle3D Xは、小さいながらも精度1.0mm以下という高精度の3Dレーザースキャナーだ。本体は軽量カーボンファイバー製で、重量は1kg未満だ。そして、IP52の防塵(ぼうじん)、防水性能を持つので、ほこりっぽい現場でも安心して使うことができる。
使用しているレーザー光は「クラス1」なので目や皮膚に当たっても安全だ。レーザーによる3D点群計測と同時に、写真撮影も行う。自動フラッシュが付いているので、暗い場所でも問題なく、色付きの点群データが取れるようになっている。
「スイッチを入れたら、ウオームアップ不要ですぐにスキャンできるので、いざ計測というときにタイミングを逃しません。そのため、現場での待ち時間にはスイッチを切っておけるので、バッテリーも長持ちします」と多田氏は語る。
ミクロな点群計測に不可欠なハンディースキャナー
ベステラはプラント解体を主な事業とし、球形タンクをらせん状に切断しながら解体する「リンゴの皮むき工法」や、溶断ロボットの開発など、新技術を積極的に導入することで知られる。
2016年1月に発足した3D事業部は、建設業界に急速に普及しつつある3D設計手法「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」や「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」に対応するため、既存構造物の3D計測事業を手がけている。
「高度経済成長期に建設されたプラントは、建設後50年が過ぎるものも増えています。しかし、度重なる改修や増設で、建設時の図面と現物が一致しなくなっているものも多くあります。そこで、プラントの維持管理や更新の資料として、3Dレーザースキャナーによる計測事業を始めました」(多田氏)。
同社では大規模3D計測サービス「パーフェクト3D」を2016年4月にスタートさせた。構造物を空、地上、海上からそれぞれ3Dレーザースキャナーや写真測量で計測し、その結果を統合的な3次元データとして一体的に提供するものだ。
「しかし、最後の細かい部分となると、FAROのハンディースキャナーでないとどうしても計測できない場合があります。例えば、地上型3Dレーザースキャナーだと、スキャナーの真下部分が死角になって計測できません。こうしたミクロの部分の計測を担えるのはFAROのハンディースキャナーしかありません」と多田氏は説明する。
点群の3Dパーツ化で合理的な設計・施工計画を
BIMやCIMをプラントや建物などのリニューアル工事に使うとき、これまでは既存の建物や機器を3Dモデル化するのに大変な手間ひまがかかっていた。それが、FAROのハンディースキャナーを使うと、大幅な設計時間の短縮が期待できる。
「FAROのハンディースキャナーで既存の機器などを計測して、点群データを作り、そのまま3Dパーツとして使うのです。機器を移動したり、設置したりするときに、建物や他の機器との干渉がないかどうかといった検討を、点群のまま行うことで、合理的に実施できます」(多田氏)。
点群データには、様々な活用方法がある。必要な部分の寸法を測り直したり、点群データから設備や構造物のBIM/CIMモデルを作ったり、3Dプリンターで出力したり、ウオークスルーやCGによるプレゼンテーションを行ったり、といった使い方だ。
点群データを一度、取っておくことで、建設業の様々な業務で役に立つ幅広い使い方ができるのだ。小型で軽量のFAROのハンディースキャナーは、必要なときにいつでも現場に持ち運び、手軽に点群計測ができる。
BIM/CIM時代の建設業の生産性向上に欠かせない機器と言えそうだ。
●ベステラ株式会社について | |
1974年に創業。プラント解体事業を主力とし、ガス切断ロボットによる「リンゴ皮むき工法」や、3Dレーザースキャナーによる既存構造物の計測など、ユニークな新技術の開発・導入に積極的に取り組んでいる。2015年9月に東京証券取引所マザーズに上場。 | |
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