世界初のフォトリアルVR空間で実寸・立体視でデザインレビュー
「NVIDIA HOLODECK」と高性能GPU「RTX」が働き方改革を実現(NVIDIA)
2019年2月5日

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)で設計中の建物の中に施主とともに入り込み、周囲を360°見回しながらデザインや設計をレビューする―――NVIDIAが開発した世界初のフォトリアルVR(バーチャルリアリティ)プラットフォーム「NVIDIA HOLODECK」を使うと、こんな建築設計業務が変わる。それを可能にしたのは、新しく開発された高性能GPU「NVIDIA Quadro RTXシリーズ」だ。

世界初のフォトリアルなVRコラボレーションデザインプラットフォーム「NVIDIA HOLODECK」によるBIMモデルのデザインレビュー風景

世界初のフォトリアルなVRコラボレーションデザインプラットフォーム「NVIDIA HOLODECK」によるBIMモデルのデザインレビュー風景

   BIMモデルを実寸大・立体視でリアルタイムに見る

「この床材は、もう少し明るい色に変えたいな」「冬至の日には差し込む太陽光がまぶしいので、窓の上にはルーバーを付けよう」―――まるで完成後の建物の中に入って、魔法使いのように各部デザインを変えていく施主や設計者たち。

NVIDIAが開発したVRコラボレーションデザインプラットフォーム「HOLODECK」を使うと、BIMのデザインレビューはこのように変わる。

建物内部にいる感覚のまま、床や壁などのテクスチャーを変えて比較検討できる

建物内部にいる感覚のまま、床や壁などのテクスチャーを変えて比較検討できる

VRゴーグルを付けた施主や設計者たちの目の前には、実寸大で立体視できる画面が広がっている。顔の向きや視点の高さなどを変えると、目の前の画面もそれに応じてリアルタイムに変わるのだ。

その画質は、左右ともフォトリアルな3K相当であるにもかかわらず、毎秒90フレームというなめらかさ。これぞ世界初のシステムなのだ。

BIMモデルを3Dプロジェクターや3Dディスプレー上で見るのと違い、原寸大での立体視は縮尺されておらず、周囲の空間を自分の背丈や座ったときの視点で眺められる。そのため、完成後の建物の中を見ているのと同じような“気づき”がある。

VRゴーグルを身に着けた施主や設計者(左)は、BIMモデルの中に入って、実物大の風景(右)を見回しているような感覚でデザインをレビューできる

VRゴーグルを身に着けた施主や設計者(左)は、BIMモデルの中に入って、実物大の風景(右)を見回しているような感覚でデザインをレビューできる

   VRゴーグルを付けたままインターネット検索も可能

各メンバーが建物内部を勝手に歩き回っているうちに、迷子になることも珍しくない。そんなときは、建物内のある場所を指定して、再度集合することができるのだ。

もちろん、建物を外から俯瞰(ふかん)したり、いろいろな断面でカットして内部をのぞいたりすることもできる。

建物のBIMモデルを周囲から俯瞰することも可能だ

建物のBIMモデルを周囲から俯瞰することも可能だ

建物内のある場所を仮想のビームで指示する(左)と、そこに瞬時に移動したり、全員で集合したりすることもできる(右)

建物内のある場所を仮想のビームで指示する(左)と、そこに瞬時に移動したり、全員で集合したりすることもできる(右)

BIMモデルはVRデータに変換後に「HOLOTABLE」に読み込む、必要な操作はVR空間内に表示されるツールメニューやコントロールパネルを使って行う。

通常のキーボードやマウスに代わり、VRゴーグルを装着したまま位置の移動や縮尺の変更、カットモデルの表示などを自由自在にコントロールできるのだ。

途中で調べ物をしたいときは、「プライベートブラウザー」の画面をVR空間内に表示して、インターネット上のウェブサイトなどを検索することもできる。

バーチャルな建築模型の中をのぞいて検討することも

バーチャルな建築模型の中をのぞいて検討することも

VR空間に表示された仮想のコントロールパネルやツールメニュー(左)を操作することで、マウスやキーボードに代わり、様々な操作が行える。プライベートブラウザー(右)を表示させれば、インターネット検索で調べ物をすることも可能だ

VR空間に表示された仮想のコントロールパネルやツールメニュー(左)を操作することで、マウスやキーボードに代わり、様々な操作が行える。プライベートブラウザー(右)を表示させれば、インターネット検索で調べ物をすることも可能だ

フォトリアルなVR空間「HOLODECK」は、コンピューターに大きな負荷がかかるリアルタイムレンダリングなどはメンバー各自のマシンで行い、各メンバーの位置や姿勢、会話などはインターネットによってリアルタイムにデータ転送を行う。

メンバー同士が会話する声などは、建物の壁や天井などの反射や共鳴などを反映して聞こえる。

このシステムにより、各メンバーは世界中、どこからでもこの高画質なVR空間に入り込んでデザインレビューに参加できる。もはやデザインの確認や打ち合わせのために、海外出張を行う必要はなくなったと言っても過言ではない。

   高画質なリアルタイムレイトレを可能にしたQuadro RTX

フォトリアルなVR空間「HOLODECK」はNVIDIAが開発した新型グラフィックボード(GPU)「Quadro RTXシリーズ」によりさらに快適に遠隔デザインレビューが可能になった。

このRTXシリーズのGPUには、ガラス面への映り込みや屈折などを忠実に再現する「レイトレーシング」機能と、AI(人工知能)によって美しい映像を再現する「ディープラーニング」機能、そしてリアルな陰影をつける「アドバンスドシェーディング」機能を備えているのが特徴だ。「Turingアーキテクチャ」という新しい設計思想によって開発された。

リアルタイムレイトレーシング、ディープラーニング、アドバンスドシェーディングを融合したTuringアーキテクチャによって開発された「RTXシリーズ」のGPU

リアルタイムレイトレーシング、ディープラーニング、アドバンスドシェーディングを融合したTuringアーキテクチャによって開発された「RTXシリーズ」のGPU

そのため、RTXシリーズには、リアルタイムに処理する「リアルタイムレイトレーシング」を専門に受け持つ「RTコア」や、ディープラーニングによって高品質なCGを作る「Tensorコア」というハードウエアが新たに搭載されている。

GPUの処理を高速で行う「CUDAコア」とともに、これまでにないBIMモデルのフォトリアル画質によるリアルタイム処理が可能になったのだ。

建築物や都市景観を詳細にフォトリアルで視覚化する「RTXシリーズ」によるリアルタイムリングの例

建築物や都市景観を詳細にフォトリアルで視覚化する「RTXシリーズ」によるリアルタイムリングの例

RTXシリーズのGPUには、48GBのメモリを搭載した最上位の「Quadro RTX 8000」をはじめ、様々なモデルが用意されているが、BIM用におすすめなのが「Quadro RTX 4000」という製品だ。

約15万円という手頃な価格ながら、8GBのメモリを搭載し、3つのディスプレーと1つのVirtual Link出力を持ち、高度なデータ処理が要求されるVRでの使用にも耐える「VR Ready」の製品だ。

BIMでの使用に向いた「RTX 4000」の主な仕様(仕様は予告なく変更する場合があります)

BIMでの使用に向いた「RTX 4000」の主な仕様(仕様は予告なく変更する場合があります)

   レイトレーシングで写真のような画像

下の2枚の画像を比べてみると、RTXシリーズで使われている「レイトレーシング」による効果が一目瞭然だ。

ラスタライズ レイトレーシング

近似したライティングとくっきりした影。反射や屈折の効果が正確に反映されていない

近似したライティングとくっきりした影。反射や屈折の効果が正確に反映されていない

周囲の壁などで反射した光によるリアルな影。反射や屈折が物理的に正確に反映されている

周囲の壁などで反射した光によるリアルな影。反射や屈折が物理的に正確に反映されている

左側は3Dゲームなどで使われる「ラスタライズ」、右側はRTXシリーズの「レイトレーシング」で、それぞれレンダリングした結果だ。

左側は近似したライティングによってくっきりとした影ができているので不自然な感じになっているのに対し、右側は壁に反射した光の影響やガラスケースの影、ケース内に映り込む光などが写真のように忠実に表現されていることがわかる。

こうした効果が、建築デザインを評価するうえで不可欠なことは、容易に想像できるだろう。

   VRが実現する建築界の働き方改革

これまで建築業界におけるVRは、BIMモデルをリアルに体験したり、プレゼンテーションしたりするためのツールとして使われてきた。

しかし、リアルタイムでレイトレーシングが行える「Quadro RTXシリーズ」のGPUと、世界初のフォトリアルVRプラットフォーム「HOLODECK」が登場したことで、VR空間は複数の建築関係者同士がデザインをレビューしたり、コラボレーションしたりする場へと変化しつつある。

先進的な建築設計事務所では、BIMモデルを複数のスクリーンに投影して原寸大・立体視でデザインを検討できる「CAVE(ケイブ)」の設置が進みつつあり、国を超えたバーチャルなデザインレビューを行う取り組みが進んでいる。

Quadro RTXシリーズのGPUとHOLODECKを導入することで、海外出張を行うことなく国外のクライアントとのコラボレーションが可能になり、子育て中の設計者も自宅からデザインレビューに参加したりすることも可能になる。

VRの進化は、建築界にBIMの新たな生産性向上や「働き方改革」をもたらそうとしているのだ。

※「NVIDIA HOLODECK」は、アーリーアクセスでの試用を実施中です。正式版のリリースは2019年春以降を予定しています。アーリーアクセスについては「NVIDIA
Holodeck」https://www.nvidia.com/ja-jp/design-visualization/technologies/holodeck/ をご覧ください。

【問い合わせ】
NVIDIA Japan
<本 社>
〒107-0052 東京都港区赤坂2-11-7 ATT新館13F
Email: https://nvj-inquiry.jp/
ホームページ http://www.nvidia.co.jp/
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