Boxの信頼性と企業間コラボで「3つのムダ」を排除
竹中工務店のクラウド活用術(Box Japan)
2019年12月5日

プロジェクトごとに、社内だけではなく発注者や設計事務所、ゼネコン、協力会社、メーカーなど多数の関係者がコラボレーションする建設業では、クラウドによる設計図書や工事写真、議事録などのタイムリーな共有が生産性向上に大きな効果を発揮する。竹中工務店は社外とのコンテンツ共有にBoxのクラウドサービスを選んだ。様々なクラウドサービスがある中、「Boxを使う」と言えば、その信頼性から企業間コラボレーション環境をスムーズに構築できるという。

社外とのファイル共有にBoxのクラウドサービスを活用する竹中工務店 グループICT推進室の金澤英紀副部長(左)と井上須美子主任(右)

社外とのファイル共有にBoxのクラウドサービスを活用する竹中工務店 グループICT推進室の金澤英紀副部長(左)と井上須美子主任(右)

   「Boxのクラウド」と言えば、話が早い

竹中工務店 グループICT推進室 ICT企画グループ副部長 金澤 英紀氏

竹中工務店
グループICT推進室 ICT企画グループ副部長
金澤 英紀氏

「当社が設計や施工を担当する建設プロジェクトでは、お客様、設計事務所や、協力会社などの多くのステークホルダーと図面や写真、議事録などの情報共有を行うため、Boxのクラウドを活用しています」と語るのは、竹中工務店グループICT推進室 ICT企画グループ副部長の金澤英紀氏だ。

「社外のクラウドと聞くと、セキュリティーや信頼性について心配になるものです。あまり実績のないクラウドだと、『それ何?』ということになり、一から説明が必要となったり、各社から了承をとったり、時間がかかってしまいます。しかしBoxであれば、多くの会社の方は『知ってるよ』、となり、アメリカ政府や多数の有力企業が使っていることを説明すれば、すぐに納得してくれます。その結果、スピーディーに社外との情報共有およびコラボレーションを始めることができます」と金澤氏は続ける。

国土交通省が推進するi-Constructionを背景に、建設業のICT(情報通信技術)の導入は急ピッチで進んでいる。竹中工務店でも、ICT活用によるさらなる生産性の向上と創造性の発揮を目指し、建物を3次元で設計するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)をいち早く導入したほか、2014年からは「竹中スマートワーク」という業務スタイルを提唱した。

Windows10搭載のノートパソコンやタブレット端末「iPad」をモバイル環境で活用できるようにし、「いつでもどこでも仕事ができる環境」を既に実現している。

また、グループ・グローバル経営推進のためのICT基盤の拡充の一貫として、すべてのドキュメント、データ、BIMデータをクラウド上で集約管理する「竹中グローバルクラウド」の構築・拡充を進めている。

竹中スマートワークのイメージ図

竹中スマートワークのイメージ図

社内のBIMモデルや図面などの情報共有は、イントラネット内のファイルサーバーを使っているが、問題はプロジェクトごとに関係企業が多岐にわたる社外との情報共有をどうするかだ。

社外とのデータ共有方法も、最近は変わってきた。以前は紙図面をバイク便で送る代わりに、できあがったCAD図面などをメール添付で受け渡すという使い方が多かったが、最近は時々刻々と変わる最新情報をプロジェクト参加企業がリアルタイムに共有しながら、企業間コラボレーションを行っていくスタイルになってきている。

「竹中工務店の社名にある『店』という文字は、“顧客への奉仕を第一義とする考え方”を示しています。つまり、お客さまと一緒に作品を創っていくという考え方がもともと当社にはあります。Boxを利用することで、よりスムーズにお客様との協創を実現できます」と金澤氏は語る。

   建設プロジェクトごとにサービスを立ち上げる

竹中工務店 グループICT推進室 システム企画・整備1グループ 主任 井上 須美子氏

竹中工務店
グループICT推進室 システム企画・整備1グループ 主任
井上 須美子氏

竹中工務店では、社外のステークホルダーと、最新情報を共有しながら建設プロジェクトを進めていくため、2017年8月にBoxを導入した。では、どのような活用を行っているのだろうか。

「基本的には、建設プロジェクトごとにBox上にフォルダを立ち上げ、2019年10月現在で約130のプロジェクトで活用しています。図面や打合記録、工事写真、定例会議の議事録などを専用のフォルダに分け、プロジェクト関係者がアクセスできるようにしています」と説明するのは、竹中工務店
グループICT推進室 システム企画・整備1グループ 主任の井上須美子氏だ。

各社のプロジェクト関係者が毎日の業務に使うためには、情報漏れやデータ消失などがないセキュリティーも重要だが、その半面、誰もが使える簡単な操作性も求められる。

竹中工務店におけるBoxによる社外との情報共有イメージ

竹中工務店におけるBoxによる社外との情報共有イメージ

Boxは、パソコンのようなわかりやすいフォルダ構成になっていて、フォルダを順次、開いていけばマニュアルを読まなくても自然に使える。そのため、トレーニングも不要で最新のデータがどこにあるかが誰にでも一目瞭然だ。

「データ容量が無制限なのも、安心して使える点です。いったんは不要となったデータを消去する必要もないので本来の業務に集中できます。消してしまったデータに限って、後で必要になることもよくある話ですが、そんな心配もいりません」と井上氏は言う。

そして、セキュリティーに関しても万全だ。時折、顧客のデータ流出事件がマスコミを賑わしているが、一度でもそんな事故が発生すると信用失墜により、せっかくの生産性向上の努力も吹き飛んでしまうが、前述のようにアメリカ政府をはじめとし国内外の官公庁や有名企業も使っており、法人での使用に耐えられる堅牢なセキュリティーで守られている。

   クラウド上でコラボレーションする文化が生まれた

竹中工務店では以前、他社のクラウドサービスを導入していたが、セキュアで扱いやすいBoxに切り替えた経緯がある。

「以前はクラウド環境でコラボレーションするのは、一部の人に限られていましたが、簡単に使えるBoxを導入してからユーザーのすそ野が広がりました。ごく一般的な社員にも、クラウドサービスを利用し情報共有しながら業務を進める文化が根付いてきたようです」と金澤氏は言う。

ユーザー数の推移。Boxに移行後、利用プロジェクト数、社内外のユーザー数とも急速に増え、ユーザーのすそ野が広がった

ユーザー数の推移。Boxに移行後、利用プロジェクト数、社内外のユーザー数とも急速に増え、ユーザーのすそ野が広がった

また、Microsoft WordやPowerPoint等のクラウドサービスのOffice365との連携機能もあり、手元にOfficeアプリケーションがなくてもブラウザー上で最新データを確認、編集ができる。

建設業では、抱えているプロジェクトの量が常に変動するため、必要な容量やライセンス数もそれに応じて変わることが多い。Boxは容量無制限な上、必要なライセンス分だけを購入すれば良いため、過大なシステム投資とは無縁だ。

「Boxのライセンス費用は、利用しているライセンス数に応じて各プロジェクトが負担します。各プロジェクトで利用しているライセンス数の把握も簡単です」(金澤氏)

Boxの活用について語る井上氏(左)と金澤氏(右)

Boxの活用について語る井上氏(左)と金澤氏(右)

「このほか、Box対応の様々なアプリがサードパーティーを通じて提供されています。『Boxの対応アプリが優れているから、Boxを使いたい』という話が出ることもあります」と井上氏は語る。

地理的にも広い範囲に散らばる多数の関係者がコラボレーションする建設業では、クラウドを有効活用することは、「移動のムダ」「資料配布のムダ」「手戻りのムダ」などを削減し、生産性向上や働き方改革を実現するのに大きな効果がある。

そしてその効果は、自社だけでなく、発注者や協力会社など社外の関係者にも及ぶのだ。情報共有とコラボレーションは考えるべき重要なポイントとなる。働き方改革や業務改革を行う際には、広い視点でクラウドサービスによる企業をまたいだコラボレーションに取り組んでみてはいかがだろうか。

●竹中工務店について
1610年(慶長15年)創業の総合建設会社。日本のスーパーゼネコン5社の一角を占める。東京ドームなど5大ドーム球場やあべのハルカスなどの超高層ビル、シンガポールのチャンギ空港ターミナル等の国内外の有名建築物を数多く手がけている。
従業員数は7500人、うち一級建築士が2466人(2019年1月現在)をしめ、設計施工比率が70%と高いことが特徴である。

〒541-0053 大阪市中央区本町4丁目1-13
URL: https://www.takenaka.co.jp/

【問い合わせ】
株式会社 Box Japan
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-2鉄鋼ビルディング15階
URL: www.box.com
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