オートデスク、歴史的建築文化財を 3D データで
運用・管理する日本初のプロジェクトに協力
歴史的・文化的財産の価値向上と文化資料の共有を実現へ
オートデスク株式会社は、山口県下関市が進める記念事業である「旧下関電信局電話分室」(現田中絹代ぶんか館、大正 13 年(1924 年)竣工)の建物竣工 90 周年(2015 年)、ぶんか館オープン 5 周年に当たり、最新の IT 技術を用いて 3D モデル化するプロジェクトに協力することとなりました。今回のように建造文化財が 3D モデル化され、3D データが運用・維持管理にまで利用されるのは全国でも初めてのケースです。下関市は今後、文化資料として国内外で共有するとともに次世代に継承できるよう一般公開していく予定です。
現在、国内に文化財として指定されている建造物はおよそ 14,300 棟*あります。時間の経過とともに建物が損傷するため修繕する必要がありますが、戦前に建てられた建物は図面が消失していることが多く、修繕できずに取り壊され、記憶から消えてしまう場合が多く見られます。(*文化庁ホームページより) これに対して「旧下関電信局電話分室」は、大正時代特有の設計、装飾が数多く見られ、当時の時代背景や文化を現す貴重な建築財産です。そのため近代建築資料として後世に残し、市民などと共有することが重要と考えました。これを実現するために「ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)」*1 の手法により、建物全体を 3D モデル化して運用ならびに修繕と保全、共有に備えることとしました。 今回のプロジェクトでは、株式会社 NTT ファシリティーズ監修の下、オートデスク株式会社、株式会社トプコンが協力し、建造文化財の 3D モデル化を図り、これを利用することによって、建物を安全に効率よく運用・維持管理できるか、ファシリティマネジメント*2 の視点に立って具体的な事例で検証します。当社はソフトウェア技術を提供することで、建設・土木分野の業務効率向上だけでなく、将来に渡って建物の価値を維持できるように支援します。 3D モデル化は以下のような手順で進行しています。 |
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- 3D モデルを使用した街並み再現、一般公開
完成した 3D モデルを周辺(唐戸地区)の地形データと周辺の近代建築遺産の外観と組み合わせ、建物が竣工した大正時代の街並みをバーチャルに再現して一般公開(2015 年 2 月より開始予定)。
使用機材、ソフトウェア:
トプコン 「GLS-2000」*3、「ScanMaster」*4
オートデスク 「Autodesk® ReCap® Pro」*5、「Autodesk Revit®」*6、
「Autodesk InfraWorks 360®」*7
*1 「ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)」:3D モデルに必要な属性情報を付与して、設計、施工、維持管理などの建物ライフサイクル全般に活用する手法の建設業界の呼称。
*2 「ファシリティマネジメント」:ファシリティマネジメントとは、企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動 (公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会ホームページより)
*3 「GLS-2000」:BIM から CIM まで広範囲な作業をカバーするマルチレンジスキャナー
*4 「ScanMaster」:点データを編集・統合するソフトウェア
*5 「Autodesk ReCap Pro」:点群データを可視化・編集するソフトウェア
*6 「Autodesk Revit」:建物のライフサイクル全般(企画、設計、施工、維持管理、解体など)で利用する BIM データを作成するソフトウェア
*7 「Autodesk InfraWorks 360」:都市・宅地開発、土木・インフラ整備などの
プロジェクト案の作成、評価、プレゼンテーションを支援するコンセプト デザイン ソフトウェア
以上