「BIMは建築主、オーナーのためだという当たり前の前提」公開
2018年12月17日

BIMで建築が夢をみる

#49 BIMは建築主、オーナーのためだという当たり前の前提

BIMの普及に立ち会い、取材、執筆を始めた際に、最初に肝に銘じたのは、「BIMはオーナーのため」という思いを証明してくれる事例を見つけることでした。現状では、BIMによるデジタル化が建築業内部の効率化や生産性向上に役立つとの視点のみが強調されているのに違和感ももっていたからです。ようやく「BIMはオーナーのため」との視座を、オーナー自身が認識してBIMが運用された事例を見つけました。

BIM成功へのアプローチは「BIMはオーナーのため」から

12月6日、7日の両日、日本建築学会で『情報シンポ2018 [第41回情報・システム・利用・技術シンポジウム]』が開催されました。二日目に行われた基調講演「海外のBIM・コンピュテーショナルデザインプロジェクト」からの報告です。

レッドスタック社という会社のCEO, 共同創設者であるJapri Maming氏の講演「BIM challenges in Asia , Asean (Singapore, Malaysia, China, Qatar & Japan) 」において、「BIMはオーナーのため」との明確な認識が表明されました。

Japri Maming氏は、「BIMの成功へのアプローチ」と題するチャプターで、

  • 建築のプロジェクトは、オーナーがBIMを主導して行う
  • その際にオーナーは、ステークホルダー間の全てのBIMモデルを調整する
  • それによって構築した全BIMデータは、オーナーに戻る
  • オーナーは、その後、BIMデータを用いてスペースマネージメントをしたり、IoTを援用したりする

と論じました。

このようなBIM運用のあり方は、すでにAsia , Asean (Singapore, Malaysia, China, Qatar & Japan) では、自明のこととなっているに違いありません。

BIM導入と運用は建築主、オーナーにこそメリット大

我が国でも、建築主、オーナーが主導してBIM導入を行った事例が登場しています。8月3日、東京大学生産技術研究所で開催された「つなぐBIMシンポジウム」でNTTデータが発表し、その後も、いくつかのイベントで公開された事例です。

NTTデータでは、建築主、オーナーとしてデータセンターを建設するに際して、BIMによる納品までを目指してプロジェクトを主導しました。データセンターでは最新スペックの機材への変更が発生するなど、竣工後も、追加工事が恒常的に発生します。そのためには、建物のBIMデータがあれば、追加工事も楽になるわけです。

それと同時に、それ以上に、データセンターを利用するユーザーに対して、NTTデータは、建物のBIMデータをもっているからこそ、最新スペックの機材への対応が迅速にできるのだとメリットを提示できます。

BIM導入による生産性向上などは建設業内部でのイノベーションでした。この事例によって、BIM導入と運用は、建築主、オーナーにこそ、メリット大であり、そのようなメリットを提供できるのがBIMに精通した建設業だとアピールすべきでしょう。

日本建築学会:第41回 情報・システム・利用・技術シンポジウム:ホームページより

詳しくは、GLOOBEのウェブサイトで。

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