BIMで建築が夢をみる
#48 建設業としてもさらなる未来創造に挑戦したい
業界を挙げての期待もあるが開催意味も探りたい
今から48年前の大阪万博の開催に際しては、建築とコンピュータの黎明期に、建設業のデジタルシフトをリードした多くの建築家、研究者が参画していました。そして、万博会場に展示された、その当時には未来を先取りしたプロダクツの数々は、今、それらの進化型として姿を私たちの前に現しています。あえて第一回目とすれば、かつての大阪万博は、その後の高度経済成長を加速化させる起爆剤ともなったといえます。
それでは第二回目の大阪万博の開催は、今を生きる私たちの建設業にとってどのような意味を持つというのでしょうか。早速、専門メディアでは、大手ゼネコンからのコメントが掲載されており、「関西経済圏のさらなる発展」「国を挙げたイベントに貢献」「課題はあるが要望には応えるべく取り組む」と大いに前向きの発言が続いています。2020年の祝祭以降、シュリンクするとも言われている建設市場の継続した活性化への期待も語られています。
大阪万博パンフレット(出典:経済産業省ホームページ)
社会課題を解決するためのデジタル・プラットフォームの構築に貢献
BIMとの関わりで、2025年を想像してみれば、ようやく普及期を迎えたBIMも、当然のようにサクサクと動いているでしょう。ここ数年の間で、明らかとなったIoT、AI、自動運転、ロボットなどの分野とのクロスオーバーもさらに進んでいることでしょう。それら建設業内部の覚醒の範囲を超えて、建設業がどのように変容していくのかを考えてみました。
今、BIMの普及を中心に起こっている変化は、建設業自体のデジタル化に留まるのではなく、あらゆる情報はデジタル化される社会と深くコミットしています。IoTという言葉を目にしたと思ったら、すぐに建材メーカー、住宅メーカーなどが、IoT関連システムを取り込み、商品化も盛んです。AIを賃貸住宅の企画立案に援用したり、施工現場の計画立案に用いるケースも出現しました。Googleは都市の地図データはもっているけれど、BIMによる建物のデータを誰がハンドリングできるのかといえば建設業に違いないとも気づき始めいます。
建設業も、今起こっている変化を統合化する中で、あらゆる局面でデジタル化、ネットワーク化される社会課題の解決に貢献すべきでしょう。あえていうならば、手元で起こっているBIM導入という変化を、さまざまな社会課題を解決するためのデジタル・プラットフォームの構築に結びつけていく。アナログの世界だけでなく、デジタルの世界でも、建築は世界の森羅万象を相手に活躍すべきだからです。
大阪万博イメージイラスト(出典:経済産業省公開資料)