管理人のイエイリです。
大林組は様々な重機を使って盛り土工事などを自動的に行う技術を着々と開発してきました。
例えば、盛り土の締め固めを行う振動ローラーの施工データから“竣工CIMモデル”を作る技術(2020年5月26日の記事参照)や、土砂を運搬する大型ダンプトラックの自動運転技術(2020年10月29日の記事参照)、仮置きした土砂をバックホーでダンプに自律的に積み込む技術(2021年9月14日の記事参照)、遠隔地から1人で複数の重機を連携制御する技術(2022年10月25日)などです。
同社は2023年12月、岐阜県八百津町、御嵩町で施工中の新丸山ダムの現場で、
ナ、ナ、ナ、ナント、
自動化技術を集大成
し、施工計画から施工、品質管理までを自動化する実証施工に成功したのです。(大林組のプレスリリースはこちら)
今回の実証実験では「統合施工管理システム」として、(1)施工計画を自動作成する建設マネジメントシステム(CMS:Construction Management System)、(2)複数の建機の自動・自律運転を管理する建機フリートマネジメントシステム(建機FMS)、(3)盛土の品質管理を自動化するAtlasX(アトラスエックス)、(4)品質管理データ受発注者間で共有を行う現場ダッシュボードを組み合わせました。
使用した重機はバックホー2台(うち無人化1台)、ダンプトラック6台(同1台)、ブルドーザー1台(同1台)、振動ローラー1台(同1台)の計10台で、現場内にある統合監視室にいる施工管理者1人が管理しました。
その他の有人建機も、建機FMSにより自動で作業指示や完了報告を行うい、施工の自動化を実現しました。
盛り土の品質管理を行うAtlasXは、振動ローラー搭載の加速度センサーで締め固め度をリアルタイム計測する「αシステム」と3Dレーザースキャナー、そして地盤の乾燥密度や含水比計測を行う「自走式散乱型RI」を搭載した計測ロボットからなります。
これらのデータをクラウド上で処理して、CMSに送られ、品質管理や出来形管理の自動作成を行います。
これらの様々な施工管理データは「現場ダッシュボード」に集約され、大林組の事務所だけでなく、新丸山ダムの発注者である国土交通省の事務所でも見ることができます。
この実証施工では、1日当たり285m3の施工量を達成し、土木工事積算基準の標準施工量260m3を上回りました。
そして、施工計画から施工、施工管理などの各業務で大幅な時短や省人化を実現し、盛り土量50万m3の
施工計画はわずか20分
で完了し、約88%の業務削減になったそうです。
この現場では今後、大林組と国土交通省が共同で、骨材製造からコンクリート打設までの一連の工程を自動・自律化する「自律型コンクリート打設システム」を開発し、導入する計画です。
また大林組では、作業の機械化と機械操作の省人化を図る「ロボティクスコンストラクション」を実現するため、2030年までに年間10件程度の現場で、自動化などの実装を行う予定です。