管理人のイエイリです。
熊谷組は2021年から、施工請負金額5億円以上の新築工事では、原則としてすべての工事で施工BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用しています。
まずは2D図面から「基本モデル」という簡易的なBIMモデルを作り、これを修正・追記しながら施工検討を行っています。
しかし、年間数十件にも上る基本モデルの作成はほとんど、人間が図面を見ながら手作業で行っているのが現状です。
この作業を自動化するため、熊谷組は燈(本社:東京都文京区)と共同で「CABTrans」というシステムを共同開発しました。
2次元CAD図面のDXFデータをこのシステムに読み込ませると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIとアルゴリズム
によって、BIMソフト「Archicad」用の構造BIMモデルを作ってくれるのです。(熊谷組のプレスリリースはこちら)
「CABTrans」は2つのモジュールで構成されています。
まずは、燈社が開発した「D-CSV」というモジュールで、2次元CADデータからAI(人工知能)によって構造情報を読み取り、データ化するものです。
Webブラウザー上で動作し、図面から範囲・レイヤーなどを手動で指定すると、AIが柱や梁、基礎、杭の位置情報や断面情報を取得し、CSV形式のテキストデータで出力します。
もうひとつは、熊谷組が開発モジュールで、このCSVデータから3Dモデリングソフト「Rhinoceros」と、自動設計用のアドオンソフト「Grasshopper」によって、Archicad用のBIMデータに変換するものです。現在は鉄骨やRC構造だけに対応しています。
このシステムによって、BIMモデル全体の作成時間は、
20~30%削減
できる見込みで、コストダウンも期待できます。
また、図面データを受け取るとすぐにBIMモデル作成に取り掛かれるので、早期のBIM化によるフロントローディング(業務の前倒し)も狙っています。
今後は実際の工事に適用することで効果を測定するとともに、意匠図など対応できる図面の種類を拡充し、読み取り精度の向上も図っていきます。
また、Grasshopperでの処理部分を、BIMソフト「Revit」用のアドオンツール「Dynamo」に移植することで、Revitへの対応も検討しているとのことです。
ベテラン技術者は、平面図、立面図、断面図の3つの図面に描かれた同じ部材から、3Dの建物を脳内で想像できます。それと同じ作業を、AIが行えるようになってきたとは驚きです。今後の進化に期待したいですね。