三和建設が全現場で土日祝休みを3カ月連続達成! “専門店化”経営とBIM、ITの積極活用が後押し
2024年4月18日

管理人のイエイリです。

残業時間に上限が設けられる「建設業の2024年問題」が、ついに本番を迎えました。

これまで、建設業では法律上、残業時間に上限はありませんでしたが、ご存じのように2024年4月以降は1カ月45時間以内、年間360時間以内などと上限が定められ、これを超える残業はできなくなったのです。

時間外労働時間上限規制のイメージ(資料:厚生労働省)

時間外労働時間上限規制のイメージ(資料:厚生労働省)

そんな中、社員176人(2023年10月現在)の大阪の中小建設会社、三和建設(本社:大阪市淀川区)は、段階的に週休2日制の導入に取り組んできました。

三和建設が施工する建設現場(以下の資料:三和建設)

三和建設が施工する建設現場(以下の資料:三和建設)

そして、2024年1月から3月までの3カ月間、新築11現場すべてで、

ナ、ナ、ナ、ナント、

土・日と祝日の閉所

を実現したのです。(三和建設のプレスリリースはこちら

三和建設の月平均残業時間の推移

三和建設の月平均残業時間の推移

10年前の同社は、第3・5土曜日が出勤日でしたが、段階的に週休2日制に移行し、2023年10月からの半年間は全社員が週休2日体制を維持しています。

今回、土・日だけでなく祝日までも閉所したことで、週休2日以上の成果を達成したことになりますね。現78期の月平均残業時間は23.6時間なので、2024年問題も軽くクリアしています。

この偉業を実現できた秘密は、建設業として“専門店化”を図ったことです。以前の同社は「どんな要望にもお応えします」という、よくありがちな経営方針でしたが、扱う建物の種類を食品工場、倉庫、社員寮に絞り込みました。

三和建設の“専門店化”戦略のイメージ

三和建設の“専門店化”戦略のイメージ

オフィスビルや商業施設といったメジャーな建物から、あえてニッチな建物に特化することで、顧客から選ばれる存在になっていき、案件の早期段階から参画できるようになったのです。

その結果、受注の見通しが立つようになり、余裕をもった工期で工事を請け負えるようになりました。

確かに、施工管理の原則でも、短すぎる工期は突貫工事に陥りやすく、コストが割高になり品質面でも問題が生じやすくなりますから、原理原則にのっとった経営戦略と言えるでしょう。

専門店化によって、余裕をもった工期が実現でき、土日祝閉所の達成につながった

専門店化によって、余裕をもった工期が実現でき、土日祝閉所の達成につながった

このほか、土日祝閉所を後押ししたのは、

BIMやフロントローディング

の導入、繰り返し業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)など、IT(情報通信技術)の積極的な活用です。

●土日祝閉所を後押しした他の要因

  • 20時以降のPC強制シャットダウン
  • IT勉強会の導入:ペーパーレス化や業務の棚卸しから全社のフォーマット統一
  • RPA:ルーティンワークの自動化
  • BIMやフロントローディングの導入:前工程で負荷をかけ、現場での負担を減らす取り組み
  • 交代勤務を可能にする複数名の現場配置
  • ベテラン技術者採用による現場指導
  • 掲示板型社内日報システムによる全社員での情報共有

2024年問題の解決策として、ITの活用は有効ですが、ただやみくもに導入するのではなく、経営戦略を実現するために経営陣と現場が一体となって働き方改革の実現を目指してきたのが、功を奏したと言えるでしょう。

建設業では若手が入社してこないという嘆きもよく聞かれますが、三和建設では働き方改革に取り組んだ結果、安定的に新入社員を採用できるようになりました。今では、29歳以下の社員が全体の30%を超えています。

生産性向上と働き方改革の実現には、差別化を図った経営戦略とITの積極活用がカギとなるようです。三和建設の成功例は、大いに参考にしたいですね。

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