管理人のイエイリです。
昨日(6/28)、東京・平河町で屋上開発研究会の通常総会と懇親会が開催されました。この研究会は平成元年に設立され、屋上緑化などの屋上開発の普及と啓発に取り組むユニークな団体です。
国土交通省の調べによると、平成21年中の屋上緑化面積は、少なくともサッカーコート約39面分に相当する約27.9ヘクタールが整備され、壁面緑化は同約9面分に相当する約6.4ヘクタールが整備されたそうです。
平成12年から21年までの10年間では、屋上緑化は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
少なくとも272.7ヘクタール
整備されたとのこと(壁面緑化は約31.7ヘクタール)。もはや、建物上の緑化はヒートアイランド現象の緩和や都市景観の形成には欠かせないものになりましたね。
こうした背景を受けて、屋上開発研究会の懇親会の場では、環境省などが主催する様々な緑化コンテストが紹介されました。
屋上開発研究会の懇親会(写真:家入龍太) |
まずは、環境省主催の「みどり香るまちづくり企画コンテスト」です。キンモクセイやライラック、ローズマリーなど、香りのある樹木や草花を150本以上使って、広場や住宅地、商店街、屋上などの緑化アイデアを競うものです。
対象は民間企業や学校、商店街、NPOなどで植栽場所を確保していること、または土地所有者からの同意を得ていることです。実施を前提としたリアルなコンテストですね。
最優秀の環境大臣賞には副賞として企画に応じたかおりの樹木、宿根草、草花がすべて提供されます。応募締め切りは2011年10月31日ですので、まだまだ余裕で間に合います。
BIMで植栽空間をデザインし、流体解析(CFD)でそれぞれの季節に、樹木や草花からの香りが、どのように流れるかを解析したプランなど、応募してみると新鮮で注目されるかもしれませんね。
「みどり香るまちづくり企画コンテスト」の昨年度受賞企画を紹介したホームページ(資料:環境省) |
もう一つは、都市緑化機構が主催する「第31回緑の都市賞」です。樹木や花などの「みどり」を用いた環境の改善や景観の向上、緑のリサイクルなどを通じて、緑豊かなまちづくりの実践を競うものです。
公園やビルなどの緑化を対象とした「緑の拠点づくり」部門、商店街や道路などに沿った花壇など広がりのある緑化を対象とした「緑の地域づくり」部門、そして都市全体の緑化を対象とする「緑の都市づくり」部門と、緑化の規模に応じて3つの募集部門が設けられています。
応募方法は2つあり、緑化に取り組む企業や市民団体が直接、応募する方法と、国土交通省の地方整備局や都道府県の公園・緑地担当部署からの推薦を受けて応募する方法があります。
直接応募する場合の締め切りは8月12日(消印有効)です。こちらもまだ時間がありますので、該当するプロジェクトを手がけた方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
前回の「緑の都市賞」受賞作品を紹介するホームページ(資料:都市緑化機構) |
屋上開発研究会では「学生による屋上利用提案競技」を開催しています。応募件数は例年、30件程度でしたが、昨年、「あなたが考える2050年の屋上利用」をテーマにして募集したところ、85校から173点もの応募があったのです。
昨年開催された「第6回学生による屋上利用提案競技」の募集ページ(左)と最優秀賞を獲得した東京農業大学の「山手線 緑の天空回廊計画」(資料:屋上開発研究会) |
この調子だと、次回もかなり盛り上がりそうですが、心配なことがあります。それは、
資金不足で開催の危機
にひんしていることです。
前回、審査委員を務めた東京工業大学大学院総合理工学研究科教授の梅干野(ほやの)晁先生は、「総額200数十万円の資金さえあれば実施できるので、よろしくお願いします」と、窮状を訴えました。
次回開催の危機を訴える東京工業大学の梅干野晁先生(写真:家入龍太) |
最近の省エネ、節電のニーズで、屋上空間では「緑化するか、太陽光パネルを設置するか」のせめぎ合いが各地で起こっているそうです。
どちらが効果があるのかについては、BIMでエネルギー解析を行うことで定量的に検証できそうですね。BIMと屋上緑化、太陽光発電の相性はかなりよさそうです。どこかから、スポンサー企業が現れることを期待したいですね。