管理人のイエイリです。
BIMや3次元CADで設計した建物や構造物の3Dデータを基に、立体の模型を作る「3Dプリンター」が建設業界でも使われるようになりました。
作れる模型の大きさは機種によっても違いますが、建設業界で使われているのは20数センチ角程度までのものが多いようです。
このスケールを大幅に打ち破る巨大な3Dプリンターがイタリアのピサにあるのです。エンリコ・ディニ氏(Enrico Dini)が開発した「D-SHAPE」という機種で、
ナ、ナ、ナ、ナント、
6m四方までのオブジェ
などが造形できるのです。仮設住宅程度の規模の建物なら、造れてしまいそうですね。
イタリア・ピサにある「D-SHAPE」(Image:Enrico Dini) |
開発したエンリコ・ディニ氏(Image:Enrico Dini) |
D-SHAPEの外形は縦横7.5mで、高さは3~18mです。四方に立ったアルミ製の柱を、水平2方向に動く「ヘッド」が少しずつよじ登りながら造形していくイメージです。2人の作業員で数時間あれば現場に設置できるそうです。
造形の原理は、石こう系の材料を使うタイプの3Dプリンターに似ています。粒径60mmまでの砂状の材料を5~60mmの厚さで1層ずつまき出し、その上から建物断面の部分に「構造インク」という固結材を300個のノズルから噴射していきます。
造形が終わると、“建物”は砂に埋まった状態になっていますので、固まっていない部分の砂を取り除けば、姿を現します。
D-SHAPEによる造形手順(Images:Enrico Dini) |
構造インクが噴射された跡(Image:Enrico Dini) |
構造インクはこの巨大3Dプリンターのために、新たに開発されたものです。触媒によって数時間で固まり、固まった材料は大理石のように
引っ張りに強い性質
を持っています。強度が弱い材料を使うときには、グラスファイバーなどを材料に配合しておくと頑丈で高い剛性を持ったオブジェや建物を造形できます。
ディニ氏は、この3Dプリンターの用途としてペンチや遊具、擬岩などのほか、小規模な建物、建築設計事務所での模型作成などを提案しています。大きな建物は、部材をブロックに分けて積み重ねることで造れます。
D-SHAPEで作成したオブジェ(Image:Enrico Dini) |
この巨大3Dプリンターを取り上げた番組の動画がYouTubeにアップされています。ヘッドが材料を敷きならしていく様子は、まるでブルドーザーのようですよ。
D-SHAPEを取り上げた番組の動画(YouTubeより) |