管理人のイエイリです。
鉄筋コンクリートの建物や構造物の維持管理のため、ICタグにコンクリートの種別や品種などの情報を書き込んでおき、コンクリート中に埋め込む方法があります。
従来、コンクリート内蔵に使われてきた短波帯(13.56MHz)のICタグは、コンクリートの材質や厚みの影響を受け、通信距離が約5cm以下しかなかったため、かぶり厚さが深い場合には使えないなどの問題がありました。
そこで、凸版印刷と住友大阪セメントは、コンクリートのメンテナンス用にこれまでより長距離での読み取りが可能なUHF帯のICタグを開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
鉄筋に結束して取り付け
られるのです。
鉄筋コンクリート用に開発されたUHF帯ICタグ(写真:凸版印刷、住友大阪セメント) |
直径10mm、長さ250mmのICタグは、付属の取り付け器具により鉄筋と平行に保持され、鉄筋用の結束線で簡単に取り付けられます。
建設現場での使用を考慮して、ICタグの構造や材質は、コンクリートや鉄筋などの影響を受けにくいものを採用しています。また、コンクリートの中性化や乾燥収縮などに悪影響を起こすこともありません。
920MHz~950MHzの周波数帯域全体で読み取り性能が落ちないアンテナ設計になっており、電波の指向性がゆるいため、離れた位置から簡単に情報を読み取れます。
UHF帯ICタグ用の中出力ハンディーリーダーを使ったとき、コンクリートのかぶり厚が15cmの鉄筋に設置した場合、コンクリート表面から約20cm以上でも読み取り可能です。
実測の結果、
最大深さ25cm程度
まで埋め込むことができます。そのため分厚いコンクリートや大型の構造物でも使用可能です。
単価は1万個製造の場合で約1500円を想定しており、10月から住友大阪セメントがサンプル提供を開始し、2012年1月から凸版印刷と住友大阪セメントの両社で販売を始める予定です。
この製品は、2011年8月31日(水)から9月2日(金)に開催される「第13回自動認識総合展」(会場:東京ビッグサイト東1ホール、主催:一般社団法人日本自動認識システム協会)のトッパンブースで展示されますので、ご興味のある方はどうぞ。