管理人のイエイリです。
コンクリート橋には、橋桁を数メートルの長さの断面ごとに「セグメント」として造り、現場に搬入して継ぎ足していく「ショートライン・マッチキャスト方式」という工法があります。
これまで、セグメントの施工管理では、2~3人1組の計測員が鋼巻き尺を使い、足場などに上って各部の寸法や形状などを計測し、あとで出来形帳票を作成していました。
この作業を効率化するために三井住友建設が開発したのが「プレキャストセグメント形状写真計測システム」です。
ナ、ナ、ナ、ナント、デジタルカメラを使って
セグメントの写真を撮るだけ
で、出来形帳票を自動的に作成してくれるものなのです。
セグメント形状写真計測システムの適用状況(左)と自動作成した出来形帳票(右)(写真・資料:三井住友建設。以下同じ) |
セグメントの断面写真を自動解析することにより、形状や寸法を検出します。その精度は幅5mのセグメントの場合でわずか2mmと高精度です。
使用する機材は、有効画素数1200万画素程度のデジタル一眼カメラ1台と解析・帳票出力用パソコン1台、そしてカメラのキャリブレーション用基準点4個、そしてカメラとプレキャストセグメントとの位置関係を補正する基準マーク4個です。
特殊な計測機材は必要としないので、経済的なのが特徴です。また、基準マークの採用や解析処理の自動化で、施工管理の担当者が誰でも簡単に使えるようになっています。
このシステムの開発によって、現場での計測作業は基準マークの張り付けと撮影だけになり、1セグメント当たり2~3分で完了するようになりました。足場を設ける必要もなく、計測結果は直ちに帳票として印刷できるので、野帳などに記入する手間もありません。
横幅が5mを超える大型セグメントの場合は、システムに組み込まれている
分割撮影合成ツール
を用いて、計測値を合成することで、同様の精度を確保できるとのことです。3Dレーザースキャナーの点群データを合成するようなイメージですね。
分割撮影合成ツールを用いた計測例。この場合、基準マークは6点設置する |
このプレキャストセグメント形状写真計測システムは、中日本高速道路発注の「第二東名高速道路 的場高架橋他2橋(PC上部工)工事」で使われました。同高架橋は8月16日に工事が終わりました。工事中、現場にはビオトープが設けられ、ホタル鑑賞会も行われました。
同システムは、橋梁のセグメントだけでなく、様々な形状の部材の出来形計測について適用できるそうです。プレハブ化による生産性の向上をさらにサポートしてくれることでしょう。
現場に設けられたビオトープ(左)は、完成後も残される。ホタル鑑賞会の様子(右) |
【参考記事】
「ほたるビオトープ」の水中生物も撮影、第二東名の的場高架橋工事で活躍する工一郎