世界が認めたBIM力!新菱冷熱の本社ビル改修工事が特別賞受賞
2011年12月7日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3次元CADなどのソフトベンダーである米国のベントレー・システムズ社は、世界中にパワフルなユーザーを多く抱えています。

そのユーザーが、毎年、自慢のプロジェクト事例を応募して競う「BE Inspired Award」というコンテストがあります。建物から道路、発電所、プラントなどBIMや3次元CADなどを用いて設計・施工された様々なプロジェクトが400件近くの応募があります。

今年の本大会は11月8日から9日まで、オランダのアムステルダムで開催されました。その「ご報告セミナー」が12月6日、東京で開催されました。

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「Be Inspired Award」のご報告セミナー会場には60人を超す参加者が集まった(左)。冒頭にあいさつするベントレー・システムズ代表取締役社長の荒井孝行さん(写真:ベントレー・システムズ)

今回、特別賞に輝いたのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

新菱冷熱工業

 

だったのです。

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今年の「Be Inspired Award」で見事、特別賞を受賞し、トロフィーを手にする新菱冷熱工業の澁谷寿夫氏(写真:ベントレー・システムズ)

同社は今年、東京・四谷に立つ築40年の本社ビルに省エネ改修工事を行いました。そのキャッチフレーズは、世界で一番空気がきれいとされるタスマニアになぞらえて「東京・四谷を、タスマニアに。」というものでした。

ベントレー・システムズの3次元CAD「MicroStation」をベースにシスプロが開発した設備用3次元CAD「DesignDraft」を、さらに自社の業務向けにカスタマイズした「S-CAD」を使って設計・施工を行ったのです。

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築40年の新菱冷熱工業本社ビル(左)と屋上に設置された太陽光発電パネル(写真:家入龍太)

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特別賞を受賞した「新菱冷熱自社ビル 省エネECO化プロジェクト」(資料:新菱冷熱工業)

BIMを使ってエネルギー消費量や熱流体解析などを行いながら入念に設計し、施工したほか、空調の省エネ運用技術も導入し、全社を挙げて取り組みました。

結果、建物の環境性能指標「CASBEE」の最高ランクである「Sクラス」を取得したほか、改修工事前に比べてエネルギー削減量40%、CO2削減量37%を達成しました。

築40年のビルと言えば、建て替えを検討してもいいくらいですが、新菱冷熱工業ではあえて改修の道を選びました。古いビルでもその気になれば省エネ改修で成果を挙げられることを、自社ビルによって実証したのです。

ちなみに、省エネ工事の成功を踏まえて、キャッチフレーズも「東京・四谷、タスマニアに。」と、過去形のイメージに微修正されています。

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省エネ改修工事前後の同じ月で比較した消費エネルギーの(左)と省エネの内訳(資料:新菱冷熱工業)

Be Inspired Awardの審査員も、BIMと省エネ技術を組み合わせる実力を高く評価してくれたのでしょうね。

このほか、日本からノミネートされたプロジェクトは、東日本大震災後に現地の状況を航空機や車両に搭載した3Dレーザースキャナーで現地を計測したアジア航測や国際航業の事例や、竹中工務店がBIMを使って着工前に意匠、構造、設備の干渉などを細かいところまで解決した「バーチャル竣工」への取り組みがありました。

国際航業は「道路に関する革新部門」の予選を勝ち抜き、

  

ファイナリストまで残った

 

のですが、惜しくも受賞を逃しました。

また、ビルディング部門の最優秀賞は、曲線を多用したデザインのオランダの「EEA & Tax Office」プロジェクトに授与されました。

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ノミネートされたアジア航測の「レーザーによる3次元計測」(左)と、国際航業の「東日本大震災における国際航業の取り組みについて」(右)(資料左:アジア航測、資料右:国際航業)
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竹中工務店の「BIMを適用したバーチャル竣工への取り組み」(左)と、ビルディング部門の最優秀賞を受賞したオランダの「EEA & Tax Office」プロジェクト(資料左:竹中工務店、資料右:ベントレー・システムズ)

しかし、世界のそうそうたるBIMや3D設計のユーザーが集まるコンテストで、日本勢がこれだけ検討したのは、明るいニュースと言えます。

ベントレー・システムズでは、来年も日本のユーザーからたくさんの応募があることを期待しているとのことです。

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