管理人のイエイリです。
ひと昔前に比べると超円高のご時世、その気になりさえすれば米国留学はそう難しいことではありません。せっかくのチャンスにもかかわらず、安定志向のためか日本人の海外留学生は以前よりかなり少なくなっています。
そんななか、高校卒業後、果敢にも米国の大学にチャレンジし、米国で活躍しようと頑張っている学生もいます。カリフォルニア州のサンフランシスコ州立大学でインテリアデザインを学ぶ小林思保美さんもその一人です。
自宅で課題の作成に励む小林さん(写真:家入龍太。以下、同じ) |
小林さんは、大学の勉強だけでは飽きたらず、近くにあるコミュニティーカレッジで開講されているBIMソフト、
Revit Architectureの講座
を独自で受講し、インテリアデザイナーとしてのスキルアップに努めているのです。
Revitやレンダリングソフトで作成した内観パース |
BIMの手法を取り入れて作成したサンフランシスコ州立大学の課題 |
サンフランシスコ州立大学のカリキュラムにないBIMソフトの授業を取っているのは、インテリアデザイナーとして米国企業に就職するためには、自分のスキルを売り込んで差別化を図る必要があるからだと、小林さんは語ります。
特に、日本人が米国で働くためには就労のためのビザが必要で、企業側にもコストや書類作成の手間がかかります。
こうしたハンディーを乗り越えて、米国企業に採用してもらうためには、Revitの公認資格や米国の建物環境性能基準である「LEED」関連の資格などで差別化し、就職戦線を乗り切っていかなければならないという事情があります。
日本人留学生にとって、米国の企業に就職するためには、学生の身でありながら、既にベンチャー企業のような差別化戦略や集中戦略が求められるわけですね。
米国はBIMが相当進んでいるように思われがちですが、伝統的な教育手法も根強く残っています。
小林さんが「忍耐をつけるための訓練」と呼んでいるのは、
ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
“ハンドレンダリング”
の宿題なのです。
微妙な陰影がついたカラーの絵を、そっくりそのまま絵の具で模写するものです。1枚仕上げるのにかかる時間は30時間は下らないそうです。絵の具が乾く間に、色合いが変化することも予測しないといけないので大変です。
ハンドリンダリングの宿題例。右が見本で左が小林さんの作品 |
学生たちは、徹夜でこの課題を仕上げることにより、「忍耐力」や「耐える力」を養っているとのこと。絵画版の“写経”のような感じですね。この課題をやることにより、これまで自分が気づかなかった色使いなどを学べるというメリットもあるようです。
効率化を実現するBIMと、忍耐を要する伝統的な手法をともに身につけることは、就職戦線にもプラスに働くに違いありません。
小林さんはこうしたハードな勉強をこなしつつ、気分を切り替えてオフタイムも楽しんでいます。ある日曜日の小林さんを密着取材しました。
米国の日本人留学生は頑張っています。ぜひ、日本人としての感性を生かしつつ、海外でも通用するインテリアデザイナーになってほしいですね。