管理人のイエイリです。
これまで2次元CADでの設計ワークフローで業務が進んでいた設計事務所や建設会社が、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による設計ワークフローに移行するとき、最初に苦労するのがBIMモデルから図面を作れるようになるまでの過程です。
これまではBIMを導入した各社が、線の太さや種類などの設定や、2Dと3Dの描き分けなどをそれぞれ試行錯誤しながら、苦労の末に図面作成までたどり着いていました。
しかし、これからBIMを導入しようという企業には、“後発メリット”もあります。意匠設計用BIMソフト「ArchiCAD」の発売元であるグラフィソフトジャパンは、BIMモデルから基本図面を作成するノウハウを紹介した「ArchiCAD BIMガイドライン」の
ナ、ナ、ナ、ナント、
無償ダウンロード
を開始したのです。
「ArchiCAD BIMガイドライン」のダウロードページ(資料:グラフィソフトジャパン。以下同じ) |
「ArchiCAD BIMガイドライン」は、従来の2次元図面から、BIMによる設計ワークフローに移行する際の作成要綱や手順をArchiCADユーザー向けにまとめたものです。
実際に竣工した建物を教材として、BIMモデルの作成方法から2次元図面の作成方法までをわかりやすく解説しています。様々な設計図書の作成方法を解説したテキストや、レイヤーや線色、材質などを設定済みの環境設定ファイルやテンプレートファイルも付いています。
単なるオペレーションマニュアルとしてではなく、サンプルモデルと連携したPDFドキュメントやレイアウト図面などを使って、実務に密着した作業方法がわかるのが特徴です。建築の各分野のエキスパート集団である「BIM LABO」のノウハウを基に作成されました。
「BIM LABO」と言えば、昨年開催されたBIM仮想コンペ「Build Live Kobe 2011」で神戸市長賞に輝いたことでも知られていますね。
教材となった建物のBIMモデル(左)と2D、3Dの描き分け方がわかる図面の作例(右) |
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各種ドキュメントの作成方法(左)。ドキュメントとBIMモデルの連携の解説(右) | |
平面図(左)。断面図(右) | |
カットモデルの例 |
今回、公開された「ArchiCAD BIMガイドライン」は、「基本設計図編」です。今後も続編が公開される予定で、4月末には「実施設計図編(意匠・構造)」、5月末には
「確認申請図編」
が提供される予定です。
これからBIMを始めようと思っている設計事務所や建設会社の方々は、先人が苦労して作ったBIMガイドラインを無料で利用できるという後発メリットを存分に生かしてみてはいかがでしょうか。