管理人のイエイリです。
米国・ラスベガスで開催中の「Autodesk University 2013」(AU2013)で、また新たなオートデスクのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の垂直統合戦略が発表されました。
先日の当欄では、BIMワークフローの上流工程で、建物の企画や概念設計を行うための3Dモデリングソフト「FormIt」のWEB版やアンドロイド版ができたことをお伝えしました。
新たに発表されたのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、鉄骨の施工図レベルまでの詳細設計用ソフト
「Advance Steel」
や、鉄筋コンクリート構造物の詳細設計ソフト「Advance Concrete」などのベンダーであるフランスのグレイテック社(Graitec)をオートデスクが買収したというのです。
米国オートデスク社社長兼CEOのカール・バス氏(写真:家入龍太。以下同じ) |
「Advance Steel」の画面(資料:Graitec) |
これらのソフトは、オートデスクの「Revit」で設計した建物の構造などを、さらに施工図レベルまで詳細化するためのものです。
米国オートデスク社社長兼CEOのカール・バス氏は「オートデスクの使命は、バーチャルな世界とリアルな世界をスムーズにつなぐこと」と語りました。
さらにオートデスクはトプコンとも、提携を強化し、トプコンはRevitやAutoCADのデータを、現場の墨出しや出来形計測に使える測量機器を開発しました。
AU2013の展示会場内のオートデスクブースで展示されていたトプコンの墨出し機 |
BIMモデルを墨出しに使うためのソフト |
企画設計用の「FormIt」は、トリンプル陣営の「SketchUp」、詳細設計用の「Advance Steel」「Advance Concrete」はトリンプル陣営の「TeklaStructures」に
対抗するソフト
と言えそうです。
トリンプル社はここ2~3年の間にBIM関連ソフトのベンダー企業を次々と買収や提携を行い、「SketchUp」→「MicroStation」→「TeklaStructures」→「トリンブル社製測量機器」というBIMワークフローの上流から下流までを垂直統合しました。
一方、オートデスクは今回のグレイテック社買収により、「FormIt」→「Revit」→「Advance Steel」「Advance Concrete」→「トプコン社製測量機器」という統合が完成したことになります。
両陣営は今後、BIMというバーチャルな世界と、現場というリアルな世界をどうスムーズにつないでいくのか、非常に興味がありますね。