管理人のイエイリです。
自然景観が重視される観光地などに施設を建設するとき、最近はBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)などの3D設計手法で、その施設がどのように見えるのかを簡単にシミュレーションできるようになりました。
地熱発電所などのプラント施設は煙も立ち上がるので、施設だけでなく煙がどのようなスケールで見えるのか気になります。
そこで大成建設は、VR(バーチャルリアリティー)とCFD(熱流体解析)のシステムを組み合わせ、
ナ、ナ、ナ、ナント、
煙の見え方
まで精度よくシミュレーションする広域景観評価システムを開発しました。
まず、地形と新たに建設する建物などの施設をVRソフト上で3Dモデル化します。
そのデータをCFDソフトに読み込み、数値解析を行って白煙などの温熱や気流などをシミュレーションします。
その結果を再び、VRソフトに戻し、地形や施設と一体化して景観検討を行う、といった手順です。
ここまでは、市販のVRソフトを使ってもなんとかできそうですが、ある計画施設に対していろいろな場所からの見え方をくまなく検討するためには、多数の視点から眺めたCG(コンピューターグラフィックス)パースを作ったり、徹底的にウオークスルーしたりする必要があります。
そこで大成建設は、この問題を“逆転の発想”で効率的に検討できるようにしました。それは、
可視率という新指標
を使った解析手法です。
この手法を使えば、例えばある施設を計画したとき、周辺の10km四方の範囲でその施設が見える度合いを3D地図上に色分け表示することができます。
さらに大成建設には、このVRシステムを上映できる幅4.2m×高さ2.4mの実物大3Dスクリーンがあります。液晶シャッター付きの3Dメガネをかけて見ると、あたかも現地に立っているように実物同様のスケールで景観を体感できます。
5.1chや7.1chの音響システムとも連動しているので、騒音などの解析結果もVRに合成すると、まさに施設建設後の未来にタイムスリップしたような体験ができそうですね。