管理人のイエイリです。
5月8日の当コーナー記事でお伝えしたように、台湾ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3Dアニメーションなどが自然体で使われている例を目にします。
台湾でのBIM普及に大きな力を発揮しているのが、国立台湾大学(台北市)の土木工学科を母体として2009年に設立されたBIM研究センター(臺大BIM研究中心)です。
台湾大学が母体となっていますが、活動内容はきわめて実践的です。
例えば、同センターやBIMを導入した企業が集まり、情報交換を行う「レビュー・フォーラム」を毎年4回開催したり、BIM関連のワークショップや教育プログラムを技術者や学生向けに開催したりしています。
そのほか、産学官の専門家やリーダーが一堂に集まって様々なBIM関連の課題を話し合うため、
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIM朝食会
も開催しているのです。
このほか、BIM関連の研究や出版物の刊行、建設業界向けのBIM導入コンサルティングなど、BIMの活用と普及を促進する活動を積極的に行っています。
その母体である台湾大学では、どのような研究が行われているのかを、5月6日、BIM研究センター所長の謝教授が直々に案内してくれました。
まずは建設ロボットやUAV(無人機)などを研究している研究室です。製作中のロボットやUAVの機体、部品も工具類がところ狭しと並ぶ室内は、とても土木工学科とは思えない“オタク”度満点な雰囲気です。
その研究室で目に付いたのは、シマウマ柄のロボットでした。クレーンで所定の位置に吊り荷を設置する作業を自動化する研究を行っているようでした。
続いて見学したのは、工作室です。建築設計事務所や建築学科などの工作室では、レーザーカッターをよく見かけますが、ここの工作室には「ウオータージェット」で金属や木材をパワフルに切断できるマシンが置いてありました。
また、週7日、24時間稼働のコンピューター室では、吊り橋の3次元モデルをモニター画面に表示しながら、模型と比較しながら検討する、熱心な学生さんの姿がありました。
華やかだったのは、大学4年生を対象としたワークショップの部屋です。女子学生が曲線を描く橋梁模型に荷重を作用させて、端部の反力を測定する実験などを行っていました。
この日は中国・上海の同済(トンジ)大学など他校の学生も交えて、合同でワークショップを行っていたそうです。
土木工学科の建物が完成したのは7年前ですが、2階部分が免震構造となっています。あえて基礎部分を免震にしなかったのは、人工地盤などを整備した後、その上に建物を建てる場合を想定した技術開発を行うためとのことです。
このほか、土木工学科の隣に建つ地震工学の研究棟にある5m角の振動台も見せていただきました。完成当時はアジアで最大の振動台だったそうです。
- かつてはアジア最大だった5m角の振動台
こうして、台湾大学の見学を終え、翌日、無事に帰国しました。そこでもまた、驚いたことがありました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
センターのFacebookページ
に、私が見学に訪れたことを掲載していただいていたのです。
土木工学科の建物の壁には世界地図が張ってあり、海外からの訪問者や海外留学中の学生、研究者などの名前を書いた小旗をその国のところに立てるようになっています。
今年は日本からの訪問者は私が始めてだったようで、日本列島に1本の旗を立ててきました。
台湾大学の土木工学科やBIM研究センターには、台湾や海外を問わず、産官学のBIM関係者が集まりたくなる魅力が満ちあふれているようでした。