振動センサーだけで斜面崩壊を予測!NECが土質力学をシンプルに
2015年7月8日

管理人のイエイリです。

これから台風や大雨などによる土砂災害が起こりやすい季節を迎えます。自治体が土砂災害に伴う避難勧告や指示を発令する際の判断情報として、都道府県や気象庁は、「土砂災害警戒情報」を共同で発表しています。

また、一部の自治体では斜面に監視カメラやワイヤーセンサ-、傾斜センサーなどを取り付けて、土砂災害の早期発見に努めています。

こうした背景のもと、NECは今年4月、土砂斜面の危険度を計測できるデータ解析技術を開発しました。

土砂斜面崩壊の危険度を

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

世界で初めて土中水分量だけ

 

でリアルタイム、高精度に算出するものなのです。

そして、同社は島根県津和野町で、このシステムの実証実験を開始しました。

島根県津和野町で行われている実証実験の現場(以下の写真:NEC)

島根県津和野町で行われている実証実験の現場(以下の写真:NEC)

計測データの中継設備

計測データの中継設備

土質力学を学んだ技術者なら、斜面崩壊の危険度を予測するのに、土砂の粘着力や摩擦力や土粒子の間に働く間げき水圧、重量をもとに、円弧すべり理論などで安定計算を行う、という考え方になりがちです。

そのデータを得るために、斜面崩壊の危険性がある現場では、土中水分計、間隙(げき)水圧計、ひずみ計といった様々なセンサーを取り付けることになります。

一方、NECが開発した手法は、「土砂の重量」・「水圧」・「土砂の粘着力」・「土砂の摩擦」など、降雨量により変化する様々な指標データを「土砂に含まれる水分量」だけから算出できるようにしました。

「本当にこんなことができるのか」と思う土木の専門家もおoれるかもしれませんが、同社が人工斜面による降雨実験を行った結果、「危険あり」と判定してから10~40分後に実際に斜面崩壊が発生したそうです。

この手法を使うと、現場には「土中水分計」だけを取り付ければ足りることになり、設置が必要なセンサー数は従来に比べて約3分の1に激減しました。

ただ、土中水分計は、電極の経年劣化や土中でイオン移動により土質変性が生じつるため、定期的な交換や測定場所の変更など、長期間の測定に課題がありました。

津和野町での実証実験では、この問題を解決するため、あるテストしています。その内容とは、「土砂の重量」・「土中の水圧」・「土砂の粘性」・「土砂の摩擦」と、

 

振動特性の相関関係

 

を検証することです。

これもNECが世界で初めて発見したもので、このテストが成功すると、土中水分計を長期間の測定に適した振動センサーに置き換えることができます。

古典的な土質力学を生かしながら、その計算に必要なデータは土中の水分や振動特性など、シンプルなデータから得るという発想は、さすがNECですね。

(Visited 1 times, 1 visits today)

Translate »