管理人のイエイリです。
先日、フィンランドのヘルシンキから東京行きの飛行機に乗って、シベリア上空を横断しました。
眼下には山や川、湖などが延々と続き、自分が日ごろ知っている地球の風景はごくごく一部であることを痛感しました。
しかし、人工衛星を使うとシベリア奥地など“前人未踏”ではないか思われる場所も含めて、写真撮影や標高の計測ができます。
NTTデータとリモート・センシング技術センター(RESTEC)は、衛星画像を使って地球上をくまなく計測した「AW3D全世界デジタル3D地図」の整備を2016年3月末に完了し、同4月26日から全世界の陸地を3D地図として提供を開始します。
驚くべきはその細かさです。私が上空を飛行したシベリアや、アフリアの奥地などを含めて、
ナ、ナ、ナ、ナント、
地球上どこでも5mピッチ
で数値標高データが提供されるのです(プロモーション動画はこちら)。
提供される地図の形式は数値標高モデル(DEM)と、水平方向のゆがみを補正した正射投影(オルソ補正)画像の2種類です。価格は1km2当たり200円からとなっています。
これまで全世界規模で整備された数値標高モデルは、2000年に米国がスペースシャトルを使って観測したものと、2000年から日米が共同で観測したものがありましたが、それぞれ解像度は30mピッチが最高でした。
それに比べると、今回のAW3D全世界デジタル3D地図が、いかに精密であるかがわかります。
その精密さを生かした用途としては、新興国での交通やエネルギーなどのインフラ整備や洪水、津波、土砂災害などの防災対策、地球温暖化に伴う海面上昇による浸水被害予測などが挙げられます。
こんな精密な3D地図があれば、日本にいながら、海外での道路や鉄道の路線計画や、これまで注目されていなかった水力発電所の適地検討などをコンピューターで行うこともできそうですね。
ビルや交通インフラなどが整備され、高精度な地図データが必要となる都市部では、さらに高解像度を高めた
50cmメッシュ
の「高解像度版50cm解像度」の3D地図(1km2当たり5000円~)と、建物1棟ごとの形を表現した「建物3D地図」(1km2当たり1万5000円~)の提供も開始されます。
これらを使うと電波障害エリアの把握やビル建設による見通しシミュレーションなど、細かな検討に使えます。