管理人のイエイリです。
山岳トンネル工事は、工事区間が長いため、事前の調査・設計段階で想定していた地質条件と違っていることがよくあります。
そのため、施工段階ではトンネル最前線の切羽をよく観察し、地質を判定しながら、トンネル内壁を支える支保工のパターンを変えたり、崩落に備えてトンネル上部を補強するフォアパイリングを行ったりと、“次の一手”を適切に繰り出すことが求められます。
そこで安藤ハザマは、トンネル切羽における地質評価の高度化・自動化を目指した「トンネル切羽AI自動評価システム」を開発しました。
「AI」とは人工知能のことで、現場のデータを
ナ、ナ、ナ、ナント、
ディープラーニングで学習
することにより、切り羽写真から地山の工学的特性を自動的に評価できるのです。
システムに教え込む「教師データ」は切羽写真と地山の弾性波速度です。これらのデータを多数、システムに入力すると、人工知能は画像認識機能によって切羽画像の特徴量を自動的に計算し、弾性波速度データとの相関をひも付けていきます。
これにより、人工知能は地質専門技術者と同じように、新鮮岩→弱風化岩→風化岩と、変化していく岩盤の外観と、弾性波速度との関係を精度よく認識できます。
既に掘削が完了した花こう岩を地山とする、2つのトンネルデータの学習を完了した結果、切羽写真から弾性波速度を8割以上の認識率で特定できるようになりました。
学習に使用する弾性波速度データは、掘削時の発破を震源として発生した弾性波を、切羽付近のセンサーで測定する「TFT探査」という方法で収集しました。
安藤ハザマは、このシステムを
余掘りや掘り残し部を最小限
にする最適な火薬量設定などにも、システムの機能を拡張するほか、他の工種や地質以外の工学的特性の自動評価に適用させていく方針です。
山岳トンネルはこの50年間で生産性が10倍に高まったと言われていますが、人工知能の導入でさらに効率化が図られそうですね。