管理人のイエイリです。
デザインや設計に3DモデリングやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が導入されても、「最初のデザインイメージ検討はやっぱり紙でないとダメだ」という方は、まだまだ多いのではないでしょうか。
ペンタブレットの老舗であるワコムが、今年1月に発売した「Wacom Intuos Pro Paper Edition」という新製品は、まさにそんな人に合っているかもしれません。
というのも、このペンタブレットの上に紙を置き、付属のペンでアナログにスケッチしていくだけで、その絵がデジタルデータ化され、
ナ、ナ、ナ、ナント、
レイヤー分けしてデータ保存
してくれるからなのです。
さらに、そのデータはワコムのクラウドサービス「Inkspace」にも自動同期されます。アナログのイメージが、そのままデジタルデータの世界と直結するので、面倒なスキャン作業を行うことなく、後のソフトでの処理も楽にできますね。
さらにワコムは、株式会社WHITEと、このペンタブレットで手描きした文字や絵などを「デジタルインク」に変換し、VR(バーチャルリアリティー)空間に映す技術を開発しました。
例えば、惑星をイメージしたVR空間上に、線画のスケッチを映します。ズームアウトで引いてみると線画は惑星を囲むテープのように見えます。
今度は視点を惑星の上に移動させて見上げると、線画は上空にある飛行機雲のように見えるといった具合です。
ペンタブレットの上で、一体どのように3D座標を入力しているのが不思議ですね。
そこはちゃんとペンタブレットの機能を活用していました。立体感を出すための奥行きのデータは、
筆圧の強弱で取得
しているのです。
ちなみに、Wacom Intuos Pro Paper Editionの価格は、ワコムの通販サイトでは「Medium」が4万4800円(税抜き)、「Large」が5万4800円(同)とリーズナブルです。
また、WHITE社のスマホ対応のVRゴーグル「MilboxTouch」は2500円と、こちらもお手頃です。
3D空間でスケッチを行うためには、これまで高価なデザイン機器が必要でしたが、この技術を使えば、身近なペンを使って手元から遠く離れた空間まで、大小さまざまな立体を制約なく描くことができます。
BIMやアルゴリズミックデザインなどの初期デザイン検討にも使えそうですね。
この技術は米国テキサス州オースチンで3月10日~19日まで開催される「South x Southwest(SXSW)」というイベントで展示されるそうです。
人間のアナログな感覚と3D空間やVRを結びつけるツールとして、ペンタブレットの新しい可能性が開けてきそうです。