管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のよいところは、設計中の建物のBIMモデルを使って風や温熱環境などの解析やシミュレーションを行い、設計にフィードバックしていけることです。
しかし、解析の種類によって、使用する属性情報が異なるため、これまでは風解析用、温熱解析用など、解析用のモデルデータを個別に作っていました。
そのため、BIMから解析へというものの、モデルデータ作成時間が結構、かかっていたのです。
そこで大成建設は、解析用のモデルデータ作成時間を短縮するため、「T-BIM Environment」というシステムを開発しました。
1つのBIMモデルから、
ナ、ナ、ナ、ナント、
複数の解析モデルを一発作成
してくれるのです。
上がもとになったBIMモデルで、下が温熱解析用のモデルです。
数値解析であまり意味のない机やいすの脚、窓サッシの枠などは削除されたり、平滑化されたりと自動変換されているのが分かります。
また、解析に必要な建物形状や部材属性などの情報は、BIMモデルから自動的に抽出してくれます。
これまでは人の手で、こうした単純化や属性情報の設定を行っていたので、自動化されるだけでも効率的ですね。
そして、解析結果はBIMモデルと重ねて見ることができます。下は「タスク&アンビエント空調」という、共用部や不在席は空調を弱めにし、在席エリアは空調を強めにした例です。
机や通路の位置と解析結果を照らし合わせて見ることで、その効果がよく分かりますね。
さらに、熱のほか風や光、音、電磁波の解析用モデルも同様に作られるので、大きくて複雑な建物の場合、解析モデルの作成時間が
最大で約8割も短縮
することができます。
BIMはこれまで、デザインの美しさなどのプレゼンに効果を発揮してきましたが、これからは音や熱など「見えない部分」の見える化で勝負する時代に入ってきたのかもしれませんね。
大成建設からは「T-BIMシリーズ」「T-CIMシリーズ」のシステムが次々と発表されて、かなりのラインナップがそろっていると思われます。
このBIM/CIM資産は、少しずつ、同社の生産性向上を実現していっているにちがいありません。