8割の時短に!大成建設がBIMから複数の解析モデルを一発作成
2017年4月17日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のよいところは、設計中の建物のBIMモデルを使って風や温熱環境などの解析やシミュレーションを行い、設計にフィードバックしていけることです。

しかし、解析の種類によって、使用する属性情報が異なるため、これまでは風解析用、温熱解析用など、解析用のモデルデータを個別に作っていました。

そのため、BIMから解析へというものの、モデルデータ作成時間が結構、かかっていたのです。

そこで大成建設は、解析用のモデルデータ作成時間を短縮するため、「T-BIM Environment」というシステムを開発しました。

1つのBIMモデルから、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

複数の解析モデルを一発作成

 

してくれるのです。

建物のBIMモデル(以下の資料:大成建設)

建物のBIMモデル(以下の資料:大成建設)

BIMモデルから「T-BIM Environment」作られた温熱解析用のモデル

BIMモデルから「T-BIM Environment」作られた温熱解析用のモデル

上がもとになったBIMモデルで、下が温熱解析用のモデルです。

数値解析であまり意味のない机やいすの脚、窓サッシの枠などは削除されたり、平滑化されたりと自動変換されているのが分かります。

また、解析に必要な建物形状や部材属性などの情報は、BIMモデルから自動的に抽出してくれます。

これまでは人の手で、こうした単純化や属性情報の設定を行っていたので、自動化されるだけでも効率的ですね。

そして、解析結果はBIMモデルと重ねて見ることができます。下は「タスク&アンビエント空調」という、共用部や不在席は空調を弱めにし、在席エリアは空調を強めにした例です。

机や通路の位置と解析結果を照らし合わせて見ることで、その効果がよく分かりますね。

BIMモデルと「タスク&アンビエント空調」の解析結果を重ねて表示した例

BIMモデルと「タスク&アンビエント空調」の解析結果を重ねて表示した例

さらに、熱のほか風や光、音、電磁波の解析用モデルも同様に作られるので、大きくて複雑な建物の場合、解析モデルの作成時間が

 

最大で約8割も短縮

 

することができます。

従来(左)は解析の種類ごとにモデルを作っていたが、T-BIM Environment導入後(右)は解析モデル作成時間が大幅に短縮された

従来(左)は解析の種類ごとにモデルを作っていたが、T-BIM Environment導入後(右)は解析モデル作成時間が大幅に短縮された

BIMはこれまで、デザインの美しさなどのプレゼンに効果を発揮してきましたが、これからは音や熱など「見えない部分」の見える化で勝負する時代に入ってきたのかもしれませんね。

大成建設からは「T-BIMシリーズ」「T-CIMシリーズ」のシステムが次々と発表されて、かなりのラインナップがそろっていると思われます。

このBIM/CIM資産は、少しずつ、同社の生産性向上を実現していっているにちがいありません。

(Visited 4 times, 1 visits today)

Translate »