ベトナム「ARCHICAD BIMコンペ2016」レポート~第1部~
建築学生300人が参加、人口密集地域のデザインを競う
伝統の蛇かご壁もBIMモデル化(グラフィソフトジャパン)

2016年7月25日

2016年6月24日、ベトナム・ホーチミン市建築大学で「ARCHICAD BIMコンペ2016」の最終選考会が開かれ、同大学のチーム「345」に最優秀賞が授与された。このコンペはグラフィソフトジャパンとホーチミン市建築大学が主体となり、鹿島建設、沖縄デジタルビジョン、YKK APファサード、多数の協賛企業からの支援を受け2014年から毎年ベトナムで開催している。第3回となった今回は約300人が参加し、都市内の人口密集地域のデザインを競い合った。第1部では斬新なアイデアあふれる作品を中心に紹介しよう。

6月24日にベトナム・ホーチミン市建築大学で行われた「ARCHICAD BIMコンペ」の最終選考会。同大学のチーム「345」が見事、最優秀賞に輝いた

6月24日にベトナム・ホーチミン市建築大学で行われた「ARCHICAD BIMコンペ」の最終選考会。同大学のチーム「345」が見事、最優秀賞に輝いた

   ベトナムを代表する2つの建築大学が参加

「最優秀賞はチーム『345』です」―――6月24日、ベトナム・ホーチミン市建築大学で開催された「ARCHICAD BIMコンペ 2016」の最終選考会で司会者がこう発表すると、会場は歓声と拍手の渦に包まれた。2位はチーム「The 94s」、3位はチーム「BTT」と続いた。

今回の課題は、都市に存在する長屋や空き地、路地を有効利用するための建物を設計するというものだった。建物には周囲の環境との間に「バッファーゾーン」と呼ばれる干渉帯を設けることも求められた。

最前列に陣取る審査員たち

最前列に陣取る審査員たち

最終選考会に残った10チームは、実力派ぞろい。大学関係者やスポンサー企業で構成された審査員も最後まで悩んだようだった。

   線路と道路の間の敷地を生かした最優秀チーム

最優秀チーム「345」は、幹線道路と鉄道の間にはさまれた幅11m×長さ18.5mの敷地に建つ住宅のリフォームを提案した。住宅の周りに設置したバッファーゾーンによって熱や騒音を低減するだけでなく、自然換気や防犯にも活用し、さらにベトナムの伝統的な生活習慣を残せるようにするというのが、基本コンセプトだ。

最優秀チーム「345」の作品

最優秀チーム「345」の作品

まず建物の各側面や屋根に作用する太陽光を、環境シミュレーションソフトで解析し、太陽エネルギーを見える化した。この結果を基に、熱負荷となる不要な日射を減らすためのファサードを設計した。

日射のよる影響を検討するために、ARCHICADをRhinocerosとGrasshopperと連携し、太陽光に対して最適なファサード形状を検討した。

環境シミュレーションソフトによるエネルギー解析

環境シミュレーションソフトによるエネルギー解析

ファサードは縦に伸びる植物の生育場所としても活用する。外界からの騒音を減らし、空気を浄化するとともに日射が屋内に差し込むのを防ぐ役割をする。さらに住人は、有機野菜や果物まで収穫できるようになっている。

また外構部には、住宅を外界から守るための蛇かご壁を設置した。ARCHICADで内部の砕石部分をモデル化する際には、モルフツールを使って3Dモデルを作り、外面をストーン模様のマテリアルを張り付けた。外枠部分はカーテンウオールツールで使って作成し、網目はマテリアルで表現した。

蛇かご壁の例(左)。モルフツールやカーテンウオールツールで作成した蛇かご壁のBIMパーツ(右)

蛇かご壁の例(左)。モルフツールやカーテンウオールツールで作成した蛇かご壁のBIMパーツ(右)

最終選考会での発表は英語で行われた。最優秀チーム「345」はARCHICADで作成した建物のBIMモデルを、iPadにインストールした「BIMx」でわかりやすく説明するとともに、建物の模型も使って設計のユニークさをPRした。

ホーチミン市建築大学のチーム「345」のプレゼンテーション

ホーチミン市建築大学のチーム「345」のプレゼンテーション

こうしたBIMの強みと模型の迫力を生かしたプレゼンにより、BIMポイント8.0、総合ポイント8.31を獲得し、見事、最優秀賞に輝いたのだ。

審査員からは「デザインコンセプトとプロセスがよくできている、開放する空間と閉じる空間が定義されスペースを有効に活用している」「デザインだけではなく、線路と道路にはさまれている敷地の問題をうまい方法で解決した」などの評価を受けた。

チーム「345」が作成した建物の模型

チーム「345」が作成した建物の模型

   人口密度の高い空間のすき間を生かした2位チーム

2位はチーム「The 94s」が獲得した。 「Fill in blank」という作品で、BIMポイント7.8、総合ポイント8.17だった。

審査員からは「人口密度の高い建物の間に空間を探しだすなど、アイデアがとてもよい」「チームには、アイデアを解決するための基礎力が十分ある。実現可能なプロジェクトだ」「コンセプトとデザインがよい。BIMxモデルもよくできている」と、高い評価を受けた。

2位チーム「The 94s」が制作した「Fill in blank」という作品

2位チーム「The 94s」が制作した「Fill in blank」という作品

「Fill in blank」の内観パース

「Fill in blank」の内観パース

   海上コンテナを利用したモジュラー・コンストラクション

3位のチーム「BTT」は、「Space between boxes」という作品を制作した。ホーチミン市で学生の住宅ニーズが増えているのを解決する手段として、使用済みの海上コンテナを使ったモジュラー・コンストラクションによる住居を提案したものだ。

3位のチーム「BTT」の「Space between boxes」の外観パース(左)。その主要構造部は使用済みコンテナを再利用したものだ(右)

3位のチーム「BTT」の「Space between boxes」の外観パース(左)。その主要構造部は使用済みコンテナを再利用したものだ(右)

コンテナを再利用した部屋のBIMモデル

コンテナを再利用した部屋のBIMモデル

コンテナを再利用した部屋のBIMモデル

コンテナを再利用した部屋のBIMモデル

この作品はBIMポイント7.8、総合ポイント8.17を獲得した。審査員の評価は「効率的な空間のプランニングとコンテナ間の接続ができている」「素晴らしい、効率的なアイデア」「興味のあるコンセプト」と前向きなものが多かった半面、「騒音、換気、構造的な問題が未解決」という問題を指摘する声もあった。

   最優秀チームに贈られたBIM視察旅行

最優秀賞のチーム「345」には、日本でのBIM実務の視察などに参加する旅行が副賞として贈られた。他の入賞チームのメンバーには、スポンサー企業でのインターンシップに参加できるチャンスが与えられた。

●第3回 ARCHICAD BIMコンペの結果

総合賞 チーム名
最優秀 345
2位 The 94s
3位 BTT
特別賞 チーム名
ベストBIMモデル賞 Mteam
ベストアイデア賞 Sumo
ベストレイアウト賞 BTT
ベストプレゼンテーション賞 The 94′s


「鹿島のBIM業務急増をきっかけにコンペ開催が実現 − 日本のBIM界で活躍中のOBも」ベトナム「ARCHICAD BIMコンペ2016」レポート第2部に続く

【問い合わせ】グラフィソフトジャパン株式会<本 社>
〒107-0052 東京都港区赤坂3-2-12 赤坂ノアビル4階
TEL:03-5545-3800

<大阪事業所>
〒532-0011 大阪市淀川区西中島7-5-25 新大阪ドイビル6F
TEL:06-6838-3080ウェブサイト www.graphisoft.co.jp