3Dモデルとクラウドで高度な設計・解析を実行
日揮が「NVIDIA GRID」でビジネスを加速(NVIDIA)

2018年11月4日

世界屈指のエンジニアリング企業である日揮は、2014年にVDI(仮想デスクトップ環境)を導入した。新システムは、サーバーが搭載するGPUを仮想化する「NVIDIA
GRID」を導入したことが大きな特徴だ。これによってグローバル各拠点のエンジニアが廉価なノートPCでも、高性能ワークステーションと同等の3次元処理を実行できるようになった。このシステムが、ビジネスの拡大を掲げる中期経営計画を支える基盤の一つになっている。

日揮が施工するプラント建設現場

日揮が施工するプラント建設現場

世界屈指のエンジニアリング企業である日揮。同社は創業から約90年にわたって、石油・ガス・資源開発、石油精製、LNG(液化天然ガス)、ガス処理、石油化学などのエネルギー・化学分野から、医薬、医療、環境、原子力、非鉄金属などに至る幅広い分野において、80力国以上で2万件に及ぶプラントおよび施設の、設計・機材調達・建設工事(EPC)事業を展開してきた。

同社は現在、2016~2020年度の新中期経営計画「Beyond the Horizon」に基づいて、石油・ガス分野のEPCを中心にビジネスを拡大中だ。こうしたビジネスの生産性を大きく高めるために、エンジニアリング用途でVDI(仮想デスクトップ環境)を導入。同社のエンジニアがこのシステムを活用中だ。

   チャレンジ

同社が手がけるプロジェクトは、一般的な事業会社からは想像もつかないほど巨大なものだ。大型のプロジェクトでは投資額が1兆円超、工期は10年にも及ぶ。建設現場が東西2.3km、南北1.4kmというプロジェクトもあるという。

プラント業界では、古くから設計・解析に3次元技術を活用しており、1990年代後半には既に3次元モデルによる設計・解析を行っていた。プロジェクトごとに単一のデータベースで3次元モデルを管理しており、データ量が年々増加しているという。

エンジニアリング業務のIT化を支えるDIエンジニアリング部の部長代行を務める井上胤康氏は、この背景を「プロジェクトの巨大化、プラントオペレーションのデジタル化に伴うデータ要求の高度化によって管理しなければならない3次元モデルとその属性データが増えてきたのです」と説明する。

プロジェクトごとにどれだけのモデルが必要になるかを数えたことはないというが、大規模なものでは数千万のオーダーに達することは間違いないだろう。

設計・解析すべきモデルが増えてくれば、それを処理するワークステーションには高い性能が求められることになる。このため、エンジニアたちにはGPUを搭載した高性能ワークステーションを配備している。ただし、その時々で高性能な機種を導入しても、すぐに陳腐化してしまうという悩みがあった。

かつて同社では、社外にいるエンジニアがインターネットを介して、社内のシステムに接続する形態で仕事を進めるケースがあった。しかし、こうした環境では十分なパフォーマンスが得られない状況だった。

3次元モデルを画面上で回転させたり、高速に移動させたりするような処理ではコマ落ちが発生し、社外拠点のエンジニアはデリケートな操作は非常に時間がかかるような状況だった。このため、社外のエンジニアがわざわざ日揮本社に駐在し、そこで仕事をするという形態を採用せざるを得なかった。

日揮が導入したソリューションのシステム構成

日揮が導入したソリューションのシステム構成

   ソリューション

DIエンジニアリング部が、これらの課題を改善するため技術動向を収集していたとき、「NVIDIA GRID」の情報にたどりついた。VDIとNVIDIA GRIDを組み合わせたソリューションであれば課題を解決できるのではないかと考えた。

VDIの環境にNVIDIA GRIDを導入すると、サーバーに搭載しているGPUを各ユーザーが利用する仮想マシンで利用できるようになる。仮想マシン1台ごとに1基のGPUを接続する形態ではなく、物理GPUを仮想化する「VGPU」という機能を提供することが大きな特徴だ。

VGPUは、サーバーが搭載する全ての物理GPUを統合的に管理し、ユーザーごとに必要なグラフィックス処理性能を割り当てる機能だ。これを利用すれば、例えば3次元処理を頻繁に実行するユーザーには大きなグラフィックス処理性能を、高度な3次元処理を必要としないユーザーにはそれなりのグラフィックス処理性能を割り当てることが可能になる。

仮想マシン上で実行する処理は全てサーバーが担うので、クライアント端末にはそれほど大きな性能を要求しない。安価なノートPCでも、3次元モデルを扱う高度な処理が実行できるようになるのだ。これならワークステーションが陳腐化するという心配はなくなるし、社外にいてもノートPCで十分なパフォーマンスが得られる。

そこでDIエンジニアリング部では、日本ヒューレット・パッカードの検証センターにおいてPoC(概念実証)を実施した。

このセンターで、サーバーにNVIDIA GRIDを搭載したVDI(バイパーバイザーはVMware)環境の端末で、実際に仕事で使っているアプリケーションやデータを使って、設計・解析のパフォーマンスを検証した。この結果、VDI環境化の端末でも高性能ワークステーションと同等のパフォーマンスが得られることが分かった。

   リザルト

この検証でVDIの採用を決断し、2014年から新システムを段階的に導入していった。DIエンジニアリング部の安藤隆史氏は導入当初の様子をこう振り返る。「エンジニアの間で良い評判が広がり、VDI利用は社内にあっという間に馴染んでいきました」

社外にいるエンジニアからも新システムは大きな歓迎を受けた。仕事を請け負ってから、すぐに手を動かせるからだ。とりわけ少人数のエンジニアリング会社から高い評価を受けた。というのも、従来のやり方では、サーバーや高性能ワークステーションを自ら管理・調達しなければならないからだ。

こうした場合、実機が届くまでに少なくても数週間を要するので、さらに、サーバーやワークステーション、アプリケーションの管理・立ち上げも必要となり仕事に取りかかるのが遅くなってしまう。これに対して新システムであれば、社内にいるエンジニアと同等な環境が即座に利用できる。

日揮では、ユーザーがワークステーション配備を希望する際に、高性能な最新機種かVDI環境のいずれかを選択できるようにしている。DIエンジニアリング部の大神智弘氏は「VDIを選ぶエンジニアが圧倒的に多く、ニーズに応えるために増設を継続した結果、仮想マシンの数が急速に増えました」と語る。

現在では20台の物理サーバー上で、本社・海外拠点含めて、最大で約500人のユーザーが仮想マシンを利用できる環境を構築している。井上氏は、新システムの導入効果と将来への展望を次のように語る。

「新システムを導入したことによってさまざまなメリットが生まれました。最も大きいものが仕事のスピードが格段に速くなったことです。ネットワークがつながっていればいつでもどこでも使えるので、今後は設計拠点のみならす建設現場での活用を検討していきたいと考えています」

(左から)日揮株式会社 データインテリジェンス本部DIエンジニアリング部 プロジェクトIT第1チーム アシスタントマネージャ 安藤隆史氏/データインテリジェンス本部 DIエンジニアリング部 部長代行 井上胤康氏/データインテリジェンス本部 DIエンジニアリング部プロジェクトIT第2チーム 大神智弘氏

(左から)日揮株式会社 データインテリジェンス本部DIエンジニアリング部 プロジェクトIT第1チーム アシスタントマネージャ 安藤隆史氏/データインテリジェンス本部 DIエンジニアリング部 部長代行 井上胤康氏/データインテリジェンス本部 DIエンジニアリング部プロジェクトIT第2チーム 大神智弘氏


【ユーザープロフィール】
日揮株式会社
本社所在地:〒220-6001神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-1
設立:1928年(昭和3年)10月
資本金:235億1118万9612円

【導入ソリューション】
仮想デスクトップ環境:VMware Horizon、VMware vSphere
キーアプリケーション:Intergraph SmartPlant 3D、AVEVA PDMS

【問い合わせ】
NVIDIA Japan<本 社>
〒107-0052 東京都港区赤坂2-11-7 ATT新館13F
Email: https://nvj-inquiry.jp/
ホームページ http://www.nvidia.co.jp/
 
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