「舞台美術・音響ユーザ活用事例」を追加
2014年7月28日

「第43回東京モーターショー2013」で、ひときわ注目を集めたトヨタブース。ものづくりの神髄を感じさせる6台のワールドプレミアカーと1台のジャパンプレミアカーを中心に構成された空間は、ランウェイ型のステージが設けられ、コンセプトカーが疾走するライブ感あふれる演出で来場者を魅了しました。

この走るコンセプトカーを一層ダイナミックに演出したのが、照明設計の力です。今回は、東京舞台照明の岡山貞次氏の仕事術を切り口に、Vectorworksの活用方法を探ります。


VOL.1 東京モーターショーの照明デザイン

10年目の躍進

私は長年、コンサートや演劇の照明デザインに携わってきました。いまでも舞台のライブ感は大好きですが、東京モーターショーにはまた違った手応えを覚えます。いわば、クリエイターとして一緒に作り上げられる空間。それが、モーターショーのブースでしょう。

最初の打ち合わせは、会期の10ヵ月以上前から始まります。照明設計を考えるにあたりまず大切なのは、当然ながら車そのものを素晴らしく見せること。普段、車は屋外にありますので、太陽光の下で見る印象が第一になります。モーターショーでは舞台に乗せ、ステージで演出しながら、車の特徴を伝えます。そうした環境の違いを越えて、車のデザイナーが目指した表現をそのまま感じ取ってもらえるようにしたい。ですから、車のデザイナー、特にカラーデザイナーと話をしたり、コンセプトのスケッチを見せてもらったり、塗装色の候補が決まった段階の車体用板金見本で色を確認させていただくこともあります。とはいえ、実車ができあがるのは会期間際です。塗装色候補の板金に手持ちのバッテリーライトをあてて見ながら、使用する器具の色温度や照射する角度を検討することもあります。

東京モーターショーでトヨタブースを担当させていただくようになって、今回が10年目です。担当を始めた頃に、開発の現場に使用予定のスポットを持参し、ライティングを具体的に提案してみたところ、車のデザイナーの方から「ああ、照明デザイナーがちゃんと照明計画を立ててくれるんだ」と言っていただいたのが印象的でした。クリエイターとして同じ感性を持ち合わせていますから、車の素晴らしさを伝えたい、と思う気持ちは同じです。かつては海外のモーターショーと日本のモーターショーでは車の見え方が違うと言われることもありましたが、トヨタブースのプロデューサーが照明を重要だと考えて今に至ったという経緯があります。今回のモーターショーの照明はおかげ様で好評をいただいていますが、「10年目にして、ようやくここまで来た」と感慨が深いですね。

続きは、エーアンドエーのウェブサイトで。

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