FARO Laser Scanner Focus3Dでゴルフグリーンを シミュレーション
2015年6月29日

 ゴルフパット世界記録に挑戦 FARO Laser Scanner Focus3D

ゴルフグリーンを シミュレーション

広大なゴルフ場のグリーンを3Dデジタル化し、パターのシミュレーションを3週間で完成させてほしいと頼まれたら、あなたはどうしますか?東京都立川市に 本社を置く株式会社フローベル(以下、フローベル)が、ゴルフグリーンのパターシミュレーションをすることになったのは、日本放送協会(NHK)からの依 頼が始まりでした。半世紀以上破られていないパターの記録に日本の職人の技を集めて挑戦、という企画がフローベルに持ち込まれたのは、2014年初秋のこ と。ゴルフ場の計測に始まって、シミュレーションの完成までを、3週間という短い期間でやり遂げなければなりませんでした。
フローベルは宇宙用ハイビジョンカメラ、超高感度カラーカメラなどの開発、製造、販売を行う総合ソリューションカンパニーです。また、陸上、競艇などの競 技用ゴール判定器、ゴルフラウンドシミュレータ、バーチャルサイクリングシステムの開発など、カメラにとどまらず「見る」ことにこだわった製品を開発、製 造しています。その延長で、今回のパターシミュレーションの話がフローベルに届くことになったのです。

flovel scan golf green

まず、広大なゴルフクリーンをFARO Laser Scanner Focus3Dでスキャン

FARO Laser Scanner Focus3Dでゴルフ場をスキャン

まず困ったことに、シミュレータの完成まで3週間という短い時間しかありませんでした。「カメラの会社なので、初めはカメラを使って撮影しようと思ってい ましたが、時間がかかりすぎてとてもこの納期では間に合いません。いろいろ手法を検討した結果、レーザーでスキャンする方法を見つけたのです」とフローベ ル取締役、応用開発事業部事業部長の中村氏は言います。ただし、買ってトレーニングを受けている時間がなかったため、レンタルで貸してくれるところを探し ました。いろいろな会社がレンタル機器を扱っている中で、株式会社ヤマイチテクノ(以下、ヤマイチテクノ)を見つけ、早速連絡しました。
ヤマイチテクノは、さまざまな事業領域の中に、3Dレーザー計測の分野があり、機器のレンタル、販売、データの処理などを行っています。今回フローベルが ヤマイチテクノを選んだ理由について中村氏は「機器を貸してくれるだけでなく、スキャン、点群処理、データの変換などすべてのサービスを含んでやってくれ るからです。使い方を覚えている時間もありませんでしたので、助かりました」と述べています。
ヤマイチテクノのプロダクト営業課、櫨本次長は「ゴルフ場をスキャンしたのは初めてのことでしたので、どこからスキャンし始めればいいかなど最初は戸惑い ました。基準球を10個使用し、6か所から2時間かけてグリーン全体をスキャンしました。日中の明るいところでもきれいにデータが取れるところがすごいで すね」とその性能を評価しています。スキャンしたデータはヤマイチテクノがFocus3Dに付属の点群処理ソフトウェア、FARO SCENEを使って結合し、フローベルへ納品しました。中村氏は「もっと大雑把な地形しか取れないと思っていましたが、こんな短い時間で精密なデータが取れて驚きでした」と言います。

scan data mesh data

(上)Focus3Dで取得した点群データ
(下)メッシュ化後、Unityにインポートしたデータ

点群データからシミュレーションの開発へ

4GBほどになったデータを、今度はソフトウェアを使ってメッシュ化してシミュレーションを作成しますが、「このプロセス自体が初めてだった」と応用開発 事業部の具志氏は言います。「点群データを処理する最適なソフトウェアを探すところから始めました。最終的には3D SystemsのGeomagic® を使用しましたが、データ容量が大きいので変換するだけで何時間もかかり、短い開発期間の中では大変な作業でした」と製作過程を振り返ります。
3Dデータ活用の課題は、取得した後の点群データの処理に時間がかかることです。櫨本氏は「膨大なデータを処理するシステムの開発が必要です。ハードとソ フトのスペックが高くなればもっと可能性が広がります」と言います。「データ変換がもっと短時間でできるようになれば、シミュレーションの開発にも活かす ことができ、用途が広がっていきます。そこのところを今後開発していきたい」と中村氏もシミュレーション開発への意欲を語りました。 golf green simulation

(上)3Dモデルにテクスチャを反映
(下)シミュレーション画面

点群データの未来

スキャンした点群データの活用に関して両社は「アイデア次第でどんどん使えそう。データの活用はこれから可能性がすごくあると思います」と口をそろえま す。フローベルの中村氏は「ゴルフ場をゲーム用にデータ化したい、というお話もいただいているし、番組を見た方からプロジェクションマッピングに使いたい との問い合わせも来ています。またレーザーの安全性が高いので、人間に対して使えることもいいですね。人をスキャンしてその場で3Dプリンターでフィギア を作るなど、いろいろやってみたい」と、すでにさまざまなアイデアが広がっています。
ヤマイチテクノでは今まで建築関係、橋梁などの建造物のスキャンがメインでしたが、櫨本氏は「建設業以外へもどんどん広げていきたい。すでに他分野からの 問い合わせもいただいています。車載搭載(MMS)や無人航空機(UAV)に搭載したスキャンなどもやってみたいですね」とその可能性について述べ、「軽 くてコンパクトなので、狭いところでも使い勝手がいいのが魅力です」と締めくくりました。

詳しくはFAROのウェブサイトで。

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