文化財調査や建物のバーチャル保存に 博物館を支えるFARO Laser Scanner Focus3D
2016年7月23日

文化財調査や建物のバーチャル保存に 博物館を支えるFARO Laser Scanner Focus3D

石仏の全体像が明らかに 「石仏をFAROの3Dレーザースキャナー、FARO Focus3Dで計測したところ、肉眼では分かりにくかった腕などが意外に残っていることが明らかになりました」と、栃木県立博物館 学芸部長補佐兼人文課長の森嶋秀一氏は語ります。
現場は栃木県塩谷町にある佐貫石仏です。鬼怒川べりにそびえ立つ高さ64mもの巨大な岩塊の壁面に、石仏が彫られています。太陽光や影のため、肉眼では石 仏の一部しかよく見えません。しかし、Focus3Dで石仏の表面を計測し、3D形状を点群データで見ると、光や影の影響が取り除かれて、石仏本来の姿が 浮かび上がったのです。
「この石仏は、12~13世紀初期の平安時代から鎌倉時代に掘られた作品と言われてきました。しかし、Focus3Dによる計測によってこれまで分からな かった石仏の形も判明し、もっと古い時代の作品である可能性も出てきたのです。3Dスキャナーならではの成果でしょう」と森嶋氏は語ります。 sekibutsu

FARO Focus3Dによる栃木県塩谷町にある佐貫石仏の計測作業

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実際の石仏。時間によっては太陽光の光や影によって石仏の凹凸が見えにくい

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FARO Focus3Dで計測した点群データ。肉眼では見えにくかった部分もはっきり分かる

現代のニーズに合った展示を探る 栃木県立博物館は、地域の自然から歴史まで、様々な学術分野をまたぐ総合博物館です。そのため、絶滅した動物と当時の人々が使用していた石器を関連づける など、過去の歴史を立体的に理解できる展示を強みとしています。そして、ガラス越しに展示品を見るだけでなく、土偶や土器などは、模型やレプリカを手にと り、裏側や底も見ることで理解を深める博物館にしていきたいという思いもあります。こうした展示を実現しようと、2015年7月に導入されたのが、 Focus3Dです。
「屋外の石仏や建物など、スケールの大きなものも、点群データにすることで、分かりやすく展示できると思います。予算が限られているので、数千万円もする3Dスキャナーは難しい。しかし、Focus3Dは低コストなので導入が実現できました」(森嶋氏)。
森嶋氏は、数年前に奈良文化財研究所でFocus3Dが使われているのを見て、その存在を知ったといいます。ウェブサイトにもFocus3Dを使った文化財調査などの事例が多く紹介されていたことも、導入を後押ししました。

laser scanner

栃木県立博物館の入り口前で3D計測のデモンストレーションをするFocus3D

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栃木県立博物館の玄関周辺を計測した点群データ 古墳の内部や建物のデジタルアーカイブも

続きは、FAROのウェブサイトで。

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