解析事例紹介:煙突・冷却塔熱気流解析

2018年1月16日

◆冷却塔熱気流解析

http://www.env-simulation.com/jp/?p=4471

冷却塔の熱気流解析は、最近非常にお問い合わせの多い解析です。 高層ビルの塔屋や途中階に設置した冷却塔群からの白煙を伴う熱気流が近隣に流れて苦情になるケースがあります。 また冷却塔が吐出した熱気を自身が吸い込んで冷却効率が上がらなくなるショートサーキット問題も相変わらず存在します。

冷却塔は空調設備の熱源となる機器であり、近年では年間を通じて様々な気象条件下で稼動していることが多いため、問題になる場合が増えています。

冷却塔は市街区の建築物が密な地域に設置されている場合が多いため、単体の建物での解析で終わることはなく、近隣の建物群を寸法・配置まで細かく再現しての解析が必須となります。

また、冷却塔の給排気にかかわる設備的な条件だけでなく、周辺の風の影響を考慮しなければならない事が多く風工学の知識も必須となります。 設備の知識のない意匠系の方々や、風工学に関わった事のない設備系の方々には、厄介なシミュレーションかもしれません。

事例では、CADで設定した解析モデルを用いて、対象のビルの塔屋に設置した複数の冷却塔(図1・2参照)からの熱気流の挙動に注目します。 風向は東京地区で冬季に頻度の高い NNW、風速3.0m/sec(気象台高さ35.3m)としています。 冬季なのは白煙を問題にしているからです。 冷却塔からの湿分の高い気流が、北側高層ビルの後背に出来る渦流に巻き込まれて広範に拡散し滞留している様子が分かります(図8~10参照)。 このような場合、設置台数が少なくても冷却塔から発生する白煙の影響が過大に出る事があります。

◆煙突排熱移流拡散解析

http://www.env-simulation.com/jp/?p=4239

高層ビルに地域冷暖房施設などの排気のための煙突が設置される場合があります。 煙突がビルの高層階や塔屋に設置される事もありますし、低層階や地表部に設置される場合もあります。 煙突からの熱排気は通常は外気よりも温度が高いので上方に拡散するのが普通なのですが、吐出直後に外気で希釈されて熱気流が浮力を失ったり、強いダウンフォースの風にあおられて、臭気のある排気が地上付近にまで降りてきて広がるケースがあります。

冷却塔の場合は排出される排気の温度と湿分が問題になりますが、煙突の
場合は排気に含まれるガス成分の臭気などが問題になる場合もあります。

また常時稼働する冷却塔と異なり、煙突は毎月の点検時の稼働が問題になる場合もあり、その時は立ち上がり時と定常運転時では排気の風量・温度が大きく異なる場合があり、その状況を非定常でシミュレーションをする事もあります。

事例では、煙突からの排気が地上に降りてきやすい夏季を対象とし、風向:SW、風速3.0m/sec(気象台高さ35.3m)としています。

高層ビルの敷地内に設置された煙突(図1・2参照)から排出される排気が当該ビルの周りを周回して風上側に回り込む様子がわかります(図7・8参照)。

また、煙突よりも風下側のビル群の表面温度・濃度分布からは、煙突からの排気が吹き付けている様子が観察されます。

対策としては、悪影響が最大に表れると見られる特定の風向を見出し、煙突の配置や風量の変更、吐出方向の変更や煙突の複数化による分散などが挙げられます。
トラブルが出てからの後付け工事は費用も掛かり時間も掛かるので、基本設計段階からの検討が重要です。

環境シミュレーションのメルマガより。