管理人のイエイリです。
道路の維持管理は、ちょっとした測定でも大がかりな作業になりがちです。例えば、道路やトンネルでドライバーが路上の障害物を発見するために必要な「路面輝度」を測定する作業では、交通規制のバリケードを設置したり、交通誘導員を配置したりする必要があります。
時間や費用がかかるだけでなく、隣をクルマが走るので、交通事故から作業員の安全を守ることも課題でした。
そこで、岩崎電気はこの作業を大幅に省力化、安全化する簡易路面輝度測定システム「eLscope (エルスコープ)」を開発。本日(10/2)から発売することになりました。
その特徴とは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
車載ビデオの動画
から、簡易的に路面輝度を測定できることなのです。
そのため、現場では交通規制は不要で作業もスピーディーかつ安全になります。もちろん、時間や費用が大幅に削減できるのは言うまでもありません。ビデオカメラは市販のものが使えます。
ビフォー |
クルマが通行する隣で交通規制しながらの危険な作業(写真・資料:岩崎電気。以下同じ) |
アフター |
車載ビデオカメラで動画を撮影。クルマを運転するだけでOK |
このシステムは、「QUAPIX(クオピクス)」という光環境評価システムの技術を活用したものです。撮影した動画を「eLscope」というソフトで解析することにより、路面輝度を簡易的に測定し、路面輝度分布や平均路面輝度グラフの作成を行えます。
また、ランプの不点検知を行う機能も備えており、動画を撮影した範囲の路面を俯瞰(ふかん)的に見ることができます。照明器具の汚れや光源の経年劣化によって照明の明るさは徐々に暗くなっていきます。肉眼ではなかなかその変化を発見できませんが、定期的にグラフで確認すると一目瞭然で輝度の低下が分かります。
データ処理の流れ。車載ビデオの動画をeLscopeで画像処理して路面輝度を算出し、グラフや数値データとして出力する |
路面輝度の分布イメージ(上)と経年劣化による明るさ減少のイメージ(下)。1年前(青線)に比べて半年前(赤線)は全体的に暗くなっていることが分かる |
このシステムが有効なのは、最近、道路照明に導入が進んでいるLED照明の管理です。従来の電球などは寿命がくると点灯しなくなるので、すぐに発見して交換できました。
しかし、LEDは寿命が長くて
徐々に暗くなる
ので、寿命が近づいても発光し続けます。そのため、いつ交換したらいいのかが、なかなか分かりませんでした。
この情報を照明器具の清掃やランプの交換などの維持管理に生かすことで、常に道路やトンネル内の視環境を安全に保つことができそうです。
解析された輝度データは、位置情報も持っているようです。トンネルや道路などのCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)モデルがあると、これにひも付けし、路面の沈下や舗装の劣化などの情報とともにCIMで一括管理できそうですね。