管理人のイエイリです。
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに、このほど3Dプリンターで建設された“世界初のオフィス”が完成しました。
ボックスカルバートのようでありながら、なだらかな丸みを帯びた、未来的なデザインのこの建物は、いったいどのように造られたのでしょうか。
その疑問に答える動画(World’s first 3D Printed building in Dubai… check the video! )がYouTubeで公開されているのを発見しました。
使われた3Dプリンターは、3Dコンクリートプリンターというもので、高さ数センチずつ、建物の壁の断面にコンクリート状の材料を積み重ねながら、型枠なしで垂直の壁を作っていく機械です。
今回の建物も同様に造られましたが、この動画を見ると
ナ、ナ、ナ、ナント、
内部に鉄筋が入っている
ことが明らかになったのです。
オフィスの面積は250m2とのことです。その施工手順ですが、工場で建物のプレキャストコンクリート部材を作るのに3Dコンクリートプリンターを使い、現場に分割搬入して組み立てたようです。
工場ではまず、ボックスカルバートのような建物断面に沿って組み立てられた鉄筋枠を敷き、その上からコンクリート状の材料を“プリント”していきます。
1層目がプリントできると、その上にまた鉄筋枠を置き、2層目のコンクリートをプリントする、という手順を繰り返して、ボックスカルバートのような部材を作ります。
造形に使われた材料は、特別に配合されたセメントと建築材料で、UAEと米国で設計・製造しました。材料の信頼性を確認するため、中国と英国で様々な試験が行われました。
出来上がった部材は、上下半分に切断してトラックに積み、現場に搬入します。そして順次、組み立てていきます。
動画には、現場での組み立て作業や仕上げ作業の写真も収録されていますが、カルバートの部材同士を締め付けるため、現場でも鉄筋を挿入している様子が分かります。
Dubai Newsの記事によると、部材の造形には、高さ約6m×幅約12m×長さ約36mという巨大な3Dコンクリートプリンターが使われました。
部材の造形は、外装や内装の設計が完了してから
わずか17日間で終了
したそうです。また、現場での部材組み立ても、わずか2日で完了しました。
工場での造形中はプリンターの監視員が1人つき、現場では作業員7人と、電気工と専門家10人が施工に当たったそうです。同じサイズの建物を建設するのに必要な作業員は50%以上、削減できました。
また、現場には小型の移動式3Dプリンターも設置され、施工に使われました。
他の報道によると、3Dプリンターの導入によって、工期は50~70%短縮されたほか、人件費も50~80%削減されたとのことです。
いよいよ、3Dプリンターが建設機械として実用化されましたね。日本でも国土交通省が「i-Construction」戦略を推進しており、コンクリート工にプレハブ式の打ち込み型枠を使う方法などが検討されていますが、こうした工法でも3Dプリンターが使えるかもしれませんね。
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