管理人のイエイリです。
建築確認申請の際、審査機関にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルを提出し、実質的な審査を行う方法は、これまでオートデスクのRevitを使って行われてきた例が報告されています。(当ブログ2016年9月9日付けの記事を参照)
一方、ライバルであるグラフィソフト社のARCHICADも、負けてはいません。
というのも、審査機関の日本ERI(本社:東京都港区)はこのほど、建築設計事務所のアーネストアーキテクツ(本社:東京都港区)が行った建築確認申請で、ARCHICADで作成したBIMモデルをクラウドで共有しながら審査を行い、
ナ、ナ、ナ、ナント、
鉄筋コンクリート造
戸建て住宅の確認済証を交付したからなのです。(グラフィソフトジャパンのプレスリリースはこちら)
ここで、ARCHICADで作ったBIMモデルを見るのに、審査機関側も高価なARCHICADを用意しなければいけないとなると、費用的にも大変です。
また、ARCHICADでBIMモデルデータを開くと、審査中、何かの拍子にデータが変わってしまう心配もあります。
そこで導入したのが、「BIMx」というビューワーソフトです。無償版と高機能の有償版(BIMx Pro、6000円)があり、ARCHICADに比べると非常に安価です。パソコンのほかタブレット端末やスマートフォンでも使うことができます。
ARCHICADで作成したBIMモデルをBIMx用に変換すると、データ容量が非常に軽くなるほか、データを編集することができません。
そのため、審査中にいろいろな角度からBIMモデルを閲覧したり、寸法を測ったりしても、データが改ざんされる心配はありません。
また、BIMxは2D図面上に3DのBIMモデルを置くように表示でき、使い方も直感的なため、はじめにちょっとした説明を受けるだけで、すぐに使えます。
申請の流れはまず、「事前相談」として建築設計事務所がBIMxのデータを電子申請用ウェブサイトに提出し、審査機関がBIMモデルを使って確認します。
そして、OKとなった段階で建築設計事務所がBIMxのデータをベースに
電子署名を行い
審査機関が本審査へと移ります。
そして消防署からの同意を得て、確認済証の紙と審査済図書のPDFデータを交付する、という流れです。
このワークフローの開発には大塚商会が、BIMワークフローのノウハウと技術支援はグラフィソフトジャパンがそれぞれ協力しました。
そして、興味深いのはBIMxのデータは、建物が完成した後の完了検査でも使えることです。
BIMx上で建物の3Dモデルを実際の建物と見比べながら、属性情報によって部材の仕様を確認したり、BIMx上で測った寸法と実物を比較したりと、効率的に作業が行えそうですね。
今回の取り組みについては、アーネストアーキテクツと大塚商会、グラフィソフトジャパンが共同でマニュアルをまとめ、公開する方針です。
これが公開されると、BIMモデルを使った建築確認申請があちこちの審査機関でできるようになるかもしれませんね。