管理人のイエイリです。
最近の建築・土木や都市計画、防災などには、街並みの3Dモデルが使われることが多くなりました。
しかし、街では常に工事や自然災害などで変化が起こっており、現状を反映した計画や検討には、常に“最新版”の3Dモデルが求められます。
こうしたニーズに対応しようと、シンメトリー・ディメンションズ(Symmetry Dimensions Inc.。本社:米国デラウェア州、日本事務所:東京都渋谷区)とスペースシフト(本社:東京都千代田区)は、画期的なサービスを提供することでこのほど業務提携に合意しました。
その内容とは、人工衛星で計測したデータを活用し、
ナ、ナ、ナ、ナント、
都市のデジタルツイン
を構築し、日々更新していこうというものなのです。(シンメトリー・ディメンションズのプレスリリースはこちら)
ここで「ツイン」とは、双子という意味です。つまり「デジタルツイン」とは、現実空間に存在する建物や土木構造物、地形などを、そっくりそのまま3Dモデルなどのデジタルデータとして再現したものです。
街並みをデジタル化してしまえば、後はBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や各種シミュレーションソフト、AI(人工知能)などを使ってコンピューターで様々な解析や検討などが行えるようになります。
今回の業務提携では、スペースシフトが持つレーダー衛星データの解析技術を活用して、地球規模で地表面を測量します。
そのデータをシンメトリー・ディメンションズが持つxR技術(VR:バーチャルリアリティー、AR:拡張現実、MR:複合現実の総称)によって広範囲かつリアルタイムなデジタルツインを作成し、様々なデバイスで活用できるようにします。
将来的には建築や土木、インフラ、都市計画、災害対策などのサービスでの活用を目指しています。
では、衛星という遠い場所から地上を計測したデータで、どれだけのことができるのでしょうか。
両社が発表したプレスリリースに添付された画像を細かく見てみると、驚くべきことが見えてきました。
上の資料は、橋のデジタルツインによって変位計測を行った例です。それぞれミリメートル単位で数値が記録されていることがわかります。
また、別の画像では日本全土の地盤沈下や地盤隆起を無数の地点で計測し、ミリメートル単位でヒートマップ化したほか、周辺の工事による
高層ビルの傾き
までが捉えられ、垂直方向にヒートマップ化されています。
大気圏よりはるか上空を飛行する人工衛星から、ミリメートル単位の情報が得られるとは驚きですね。計測場所や目的によっては、センサーや測量機を使った計測手法に比べると、圧倒的に少ない手間で計測できそうです。