10km四方の大規模CIMモデルもサクサク動いた!
ノート型ワークステーション「HP ZBook 15」(日本HP)
2014年2月28日

土木インフラの分野で普及しつつある3Dベースの設計・施工管理手法、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の実務で、日本ヒューレット・パッカードのノート型ワークステーション「HP  ZBook 15」はどんなパフォーマンスを発揮するのか。オートデスクのエンジニアが代表的なCIMソフト「InfraWorks」で徹底検証した。

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ノート型ワークステーション「HP ZBook15」で10km四方のCIMモデルを開き、プレゼンするオートデスクのセールスエンジニア兼マネージャーの井上修氏

   数十キロメートル四方を3Dでモデル化

CIMとは、土木構造物や社会インフラを計画・設計する際に、これまで地図や図面に代わりコンピューター上に構築した3Dモデルを使って業務を行うものだ。いわば、建築分野で普及が進むBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の土木版だ.

オートデスクでCIMソフトを担当する土木・空間情報ソリューションスペシャリストの井上修氏は、日本ヒューレット・パッカードのノート型ワークステーション「HP ZBook 15 Mobile Workstation」(以下、HP ZBook 15)を会議室に持ってくると、すぐに起動させてCIMソフト「InfraWorks」で作成したCIMモデルを開いた。

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HP ZBook 15で「InfraWorks」を立ち上げ、10km四方のCIMモデルを開く井上氏

このCIMモデルはオートデスクが講習会の教材として使っているもので、約10km四方の地形上に道路や建物、河川や海面などを実物と同じように3Dでモデル化したものだ。

井上氏はHP ZBook 15で、この巨大なCIMモデルをくるくる回すように向きを変えたり、拡大したりしながら、各部を見せてくれた。CIMモデルを拡大すると、樹木や太陽光発電パネルまでが見えてきた。

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約10km四方の地形や土木インフラなどを3Dでモデル化したCIMモデル。ソフトはオートデスクの「InfraWorks」を使用
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CIMモデルには無数の建物や道路、橋などが含まれている
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さらにCIMモデルを拡大すると樹木や太陽光発電パネルまでが見えてきた

  CIMモデルをプレゼンしながら設計変更も

単体や数棟の建物を扱うBIMモデルに比べて、CIMモデルの規模は格段に大きい。時には数十キロメートル四方の範囲に含まれる地形や土木構造物、建物などの施設を3Dでモデル化し、鉄道や道路計画の全線をCIMモデル化することもあるからだ。

「CIMモデルのデータ容量では150M~200MBはざらで、時には1GBにも達することが珍しくありません。CIMモデルをノート型ワークステーションに入れて発注者にプレゼンテーションしながら、その場で道路の位置などを修正することもあります」と井上氏は言う。

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発注者との打ち合わせでは、CIMモデルをその場で道路などの線形を変更することもある

「今回、使ったHP ZBook 15はCPUにインテル® Core™ i7 vPro™ プロセッサー、グラフィックスにNVIDIA Quadroを採用しているためか、デスクトップ型ワークステーションと同じような操作感でCIMモデルをサクサクと扱うことができました」(井上氏)。

そう言うと井上氏はInfraWorkの画面上で時間を変えるつまみを変えて見せた。すると地表面に降り注ぐ太陽光の強さが代わり、無数の建物が落とす影の向きや長さが一斉に変わった。土木構造物の場合も、橋梁が農地などに落とす影の時間などを検討するため、日影シミュレーション機能は欠かせないのだ。

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日影シミュレーションの例。HP ZBook 15の画面上で時刻を変えるつまみを動かすと、無数の建物が落とす影の方向や向きが一斉に変わった

オートデスクは様々なCIM関連のソフトやクラウドサービスを提供している。土木構造物を設計する「AutoCAD Civil 3D」や構造設計用の「Revit Structure」、3Dレーザースキャナーで計測した点群データからCIMモデルを作成する「Recap」、様々な地形や土木構造物、建物などの3Dモデルを1つにまとめる「InfraWorks」、そしてCIMモデルをクラウド上で共有したり、タブレット端末で参照したりする「Glue 360」などだ。

さらにCIM業務を行うユーザー向けに、これらのソフト約10本をパッケージ化した「Infrastructure Design Suite」という製品も提供している。

「CIMの業務では、Civil 3DやRevit Structureで作成したモデルをInfraWorksに読み込むなど、複数のソフトを同時に立ち上げて作業することもよくあります。HP Z Book 15は、最大で32GBのメモリーを搭載できるので、こうした作業も問題なくできそうです。またオプションで32GBのキャッシュ用SSDを搭載すると、スリープから数秒でWindowsが立ち上がります」(井上氏)。

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HP ZBook 15を大画面モニターに接続してのプレゼンテーション。オプションのキャッシュ用SSDを搭載しているのでスリープから数秒でWindowsが起動する

  電源アダプターも従来の半分以下の容積に

井上氏の仕事は、顧客やパートナー企業が抱える土木インフラの業務で抱える様々な問題を、これらのCIMソリューションによって解決していくためのアドバイスを行うことだ。そのため、ノート型のワークステーションを持って北は北海道から南は九州・沖縄まで、全国各地を出張で飛び回る。

「以前からHPのワークステーションを使ってきましたが、HP ZBook 15は15.6インチの大画面でとても使いやすいです。出張も楽になりそうです」と井上氏は言う。

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薄くなり持ち運びにも便利になった電源アダプター

CIMでの設計には、数値入力が欠かせない。HP ZBook 15はキーボードの右端にテンキーを備えているので、CIMソフトに部材の寸法や座標値などを頻繁に行いながら設計を進めていく作業も効率的だ。

「巨大なCIMモデルを扱うInfraWorksは、数多くの分割したファイルを必要に応じて読み書きするので、常時、CPUが動いています。そのため、ノート型のワークステーションなどは気温が高いときにはCPUからの発熱で熱暴走起こることもあり、保冷剤をマシンに張り付けることもありました。その点、HP ZBook 15は、ファンの開口部がずっと大きくなったので冷却能力も優れていそうです」(井上氏)。

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キーボードの右端には数値入力を効率化するテンキーを装備(左)。従来よりずっと大きくなった冷却ファンの開口部(右)

  3年間翌日オンサイトサポート付きで安心

井上氏が使ったHP ZBook 15は、オプションのSSDキャッシュ付き、メモリーは16GBで価格は約26万円だ。さらにノート型ワークステーションとしては珍しく、購入後3年間の365日翌日オンサイトサポートが標準で付いている。万一、故障などが起こった時は、土日・祝日も含めて、翌日にはエンジニアが現場に駆けつけ、修理してくれるのだ。

「これまで日本HPのワークステーションを使ってきましたが、特に故障したことはありません。しかし、3年間の翌日オンサイトサポートが付いているのは、安心ですね。ノート型でもここまでの保証が可能なのは、逆に日本HPの自信の表れかもしれませんね」と井上氏は言う。

「HP ZBook 15は小型・軽量のノート型ワークステーションなので、発注者などとの打ち合わせに気軽に持っていき、従来は持ち帰りで3~4日かかっていた設計変更をその場で行い、合意形成をスピーディーに行えます。こうした生産性向上効果があるので、HP ZBook 15のコストパフォーマンスはとても優れていると言えるでしょう」と井上氏は感想を語った。

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【問い合わせ】
株式会社大塚商会 CADプロモーション部 戦略推進課E-mail cad-strategy@otsuka-shokai.co.jpTEL 03-3514-7823

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