管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を手がける建設関連企業の間で、このところ急速に注目が高まっているのが、マイクロソフトが開発した「Microsoft HoloLens」というMR(複合現実感)デバイスです。
現実の風景の上に、仮想の建物や現場などの3Dモデルを重ねて表示した画像を実物大で立体視できるヘッドマウントディスプレー(HMD)の一種ですが、Windows10で動くパソコンを内蔵している点が普通のHMDと違います。
新潟県三条市の小柳建設と日本マイクロソフトが連携し、このHoloLensを使って
ナ、ナ、ナ、ナント、
Holostruction
という、建設業の新しいコンセプトモデルを開発していこうというのです。(「Holostruction」は商標登録申請中)
小柳建設が4月19日にYouTubeに公開した「Microsoft HoloLensによる建設業界新ビジョン」という動画を見ると、これまでのBIM/CIMやi-Constructionからはさらに進化した建設業のワークスタイルが感じられます。
例えば、HoloLensを着けた社員が部屋の中を歩き回っているシーンは、実はこれから施工する橋の現場を「実物大のウオークスルー」で確かめているのだということが分かります。
また、会議室の中に現場や構造物の大きめな“仮想模型”を表示させて、いろいろな角度から検討しているシーンもあります。
さらに、HoloLensを現場に持って行くと、実物と設計の3Dモデルを比較したり、目の前に工事関係の書類や工事写真などを表示させたりすることもでき、
検査の効率化
も図れます。
小柳建設はHoloLensを活用して、(1)業務トレービリティーの推進、(2)BIM/CIMデータの活用試行、(3)新しいコミュニケーションアイデアの試行、という3つのコンセプトモデルを開発しています。
建築・土木の世界ではこれまで、模型を使った現場や建物のデザインなどの検討が行われてきましたが、これからはホログラムがその役目を担うのかもしれませんね。
当サイトでは、HoloLensの活用例として、インフォマティクスが今年の夏に発売する建築分野向けAR/VRシステム「GyroEye Holo」や、紙図面やメジャーなしでトイレを施工した米国マーチンブロス社の事例を紹介してきましたが、新潟県の小柳建設が今後、どのようにHoloLensでBIM/CIMやi-Constructionを進化させて行くのかが注目されます。